ソフトウェア業界の倒産が過去10年で最高、厳しい人材不足が影響

ソフトウェア業界の倒産増加の背景

2024年度に発表された調査によると、日本のソフトウェア業界での倒産件数は220件に達し、前年度の154件から1.4倍に急増しました。これは過去10年の中で最も高い数字であり、この現象は特に小規模事業者において顕著です。倒産した企業の多くは従業員が10人未満であり、全体の80%以上を占める状況です。これにより、小規模事業者の厳しい景況が浮き彫りになっています。

DXの進展と人材不足の逆風

デジタルトランスフォーメーション（DX）やデジタルツールの導入が進む一方で、システムエンジニア（SE）の不足が業界全体を悩ませています。特に、情報サービス業での正社員の人手不足を感じている企業の割合が72.2%に達し、全業種の中で最も高い数値となっています。このような状況は、案件の受注困難を引き起こすだけでなく、高度なスキルを持つ人材の育成にも支障をきたしています。

コスト高騰と人材獲得競争

また、人手不足は人件費の高騰を伴います。2024年のデータによると、情報サービス業の月の平均給与は37万4377円に上り、全業種平均の26万2325円を大きく上回っています。この背景には、AIやデータサイエンスなどの高度なスキルを持つ人材に対する高額報酬の提示が増えていることがあります。特に大企業では新卒社員の年収が1000万円を超えるケースもあり、中小や小規模事業者にとっては採用競争の逆風となっています。

未来への課題と人材育成の重要性

調査を行った株式会社帝国データバンクによると、2030年にかけてデジタル人材の減少と高齢化が進むとの予測があります。人手不足が続く中、企業における人材採用や育成は難航し、特に小規模事業者は経済的な圧迫を感じることでしょう。このような状況は業界全体における人材の質の低下を引き起こしかねません。

業界内での転職者数の増加も予想されており、より高度なスキルを持つ人材の育成と定着が急務となります。ファーストステップとして、技術者育成のための研修や支援体制の強化が必須です。企業は自身の魅力を高め、労働環境を改善することで、優秀な人材の確保に取り組む必要があります。