2023年度ふるさと納税実態調査報告書の到来
一般社団法人自治体DX推進協議会は、全国334の自治体を調査した「2023年度ふるさと納税実態調査報告書」を公開しました。デジタル化が進む時代において、寄附すべき自治体やその戦略がどのように変わっているのかが明らかになっています。こうした調査結果は、ふるさと納税の制度を利用する際の有用なデータとなるでしょう。2023年6月27日に行われたオンラインセミナーでも同様の内容が発表されました。
調査結果の重要ポイント
寄附額の傾向
2023年度の寄附額については、53.3%の自治体が昨年より増加したと報告。逆に、28.1%で減少し、前年と変わらない自治体も18.9%に上りました。このことから、寄附額の動向には地域ごとの格差が見られることが伺えます。
総務省通達の影響
10月の総務省通達後、56.3%の自治体が返礼品の価格を見直し、27.5%が返礼品を取り下げました。このように、政府の規制が自治体に与える影響は大きく、今後の施策を考える上で重要な要素となるでしょう。
ポータルサイトの役割
調査によると、近年のポータルサイトの利用も明確なトレンドとして現れています。約60.5%の自治体が新たにポータルサイトを追加し、掲載されるサイトの平均数は約8.36に達しています。デジタルマーケティングや情報発信の強化が寄附額の増加に寄与することが期待されます。
自治体の運用方法
運用方法では、50%の自治体が外部の事業者に運用を委託しており、22.2%は自治体自身が運営する形態です。これは、自治体によって運営体制が異なることを示しています。顧客サービス向上のため、広告配信を行っている自治体も60.5%に達しました。
課題と興味の施策
最も関心を集める施策として、79.3%が新規返礼品の開発に、54.8%がマーケティングやプロモーションの強化に注目していますが、寄附額の落ち込みや経費負担の増加といった課題も無視できません。
今後の展望
報告書では、ふるさと納税制度の持続可能な発展に向けて以下の提言がなされています:
1.
制度設計と運用ルールの見直し
本来の趣旨に立ち返り、透明性を高めることが重要です。
2.
過度な返礼品競争の抑制
地域資源を活用した魅力ある返礼品の開発が求められます。
3.
経費負担の軽減
運用手数料の見直しが必要です。
4.
情報共有と連携の促進
他の優良事例から学び、共有することで効果的な施策が実現します。
5.
地域課題解決の取組
ふるさと納税をきっかけに、地域課題に取り組む姿勢が求められます。
成功の秘訣
また、一般社団法人自治体DX推進協議会は、新たに『なぜあの自治体にふるさと納税が集まるのか ~ ふるさと納税で成功する15の秘訣~』というガイドブックも発表しました。この著書は、ふるさと納税に求められる成功の鍵をまとめており、地域活性化を図るための実践的なアプローチが紹介されています。書籍は紙版1650円(税込)、Kindle版1250円で販売中です。
結論
ふるさと納税は、地域活性化に寄与する重要な制度です。しかし、各自治体が直面する課題も多く、今後の戦略の練り直しが欠かせません。2023年度の実態調査報告書を参考にしながら、各地域がどのように寄附を集め、持続的な発展を望むのか、注目が集まります。