認知症のBPSDに関する調査から見える家族への影響と支援の必要性
1. 調査の背景と目的
認知症は、高齢者への介護が必要となる主な要因の一つであり、その中でも特にBPSD(行動・心理症状)が引き起こす問題は深刻です。一般社団法人インターネットインフィニティーが実施した調査によると、ケアマネジャーはBPSDが利用者の生活や人間関係へ影響を与えることを認識しています。しかし、介護家族の理解と対応能力は十分ではありません。ここでは、ケアマネによる調査結果をもとにBPSDの実情と介護家族へのサポートの可能性について考察します。
2. BPSDの実態
調査に参加した312名のケアマネジャーのうち、認知症利用者の約43.8%が静的な認知症の症状を抱えており、その中でも34.5%にあたる利用者がBPSDを示していることが確認されました。特に興奮、暴言、不安、徘徊などが代表的な症状として挙げられ、これにより生活や人間関係に影響が出ているとのことです。
3. 介護負担の増加とその背景
BPSDは介護ハードルを上げる要因となり、介護家族や介護スタッフにとってもストレスの原因となります。ケアマネジャーは、家族がBPSDに対処できずに介護を諦めることも少なくないと報告しています。また、介護負担が増すと同時に、施設入居をためらう家族も多く、実際に自宅での介護が続けられない状況が発生することがあります。このことから、介護家族の心身への影響が懸念されています。
4. 薬物療法に対するケアマネの見解
ケアマネの割合では、BPSDへの非薬物的介入が優先される傾向がありますが、周囲に危険が及ぶ場合や家族が疲弊する前に薬物療法を考慮することも必要であると考える声が多く聞かれました。約6割のケアマネは、患者とその周囲の安全を重視し、必要であれば薬物療法を選択することも理解できるとしています。
5. 家族の認識不足
驚くべきことに、BPSDとして表れた行動が認知症によるものであることを理解していない家族は、おおよそ37.9%に達するとしています。また、BPSDの理解はしていても、実際に適切に対応することができない家族が71.5%も存在するとのことです。このような家族の理解不足は、今後の介護やサポートに重大な影響を与えることが考えられます。
6. ケアマネによる啓発活動の現状
つまり、BPSDについての十分な理解を促進する必要があります。調査では、約9割のケアマネが介護家族に対してBPSDに関する情報提供を行っていると回答し、必要な場合にはチラシや動画を使って説明を行う意向があるとのことでした。このような啓発活動は、介護家族が適切にBPSDに対処できるようサポートするために極めて重要です。
7. 結論
認知症のBPSDは、介護家族の生活に深刻な影響を与えています。ケアマネジャーの調査結果が示すように、介護家族のBPSDに対する理解不足と対応の難しさは、今後更なる支援の必要性を示しています。啓発活動を強化し、家族がより良い介護を行えるようになることが急務です。正しい知識と情報を共有し、介護家族とケアマネ、両者が連携していくことが求められています。