三生医薬による新製剤技術が示す持続的な機能性素材吸収の可能性

三生医薬による新しい製剤技術とは

三生医薬株式会社は、静岡県立大学と共同で、難吸収性素材の穏やかな吸収をサポートする製剤技術を確立しました。この技術の発表は、2025年5月に開催される「日本薬剤学会第40年会」で行われる予定です。この新しいアプローチは、南極オキアミ由来のクリルオイルと中鎖脂肪酸（MCT）の組み合わせによって形成されるマトリックス様構造が、脂溶性機能成分の吸収や持続性を飛躍的に向上させる可能性を探るものです。

研究の目的と背景

クリルオイルは不飽和脂肪酸を豊富に含むことから、吸収サポート素材として注目されていますが、吸収性が高くない物質と併用することで、その効果を引き出すことがなされてきました。今回の研究では、クリルオイルにMCTオイルを加えることで形成される構造が、より穏やかで持続的な吸収を実現するかどうかを探ります。

実験方法と結果

この研究では、まず吸収の持続性について評価しました。具体的には、吸収性が高くないという特性を持つセサミンを使用し、クリルオイルとMCTオイルの混合液に溶解してラットに摂取させたところ、セサミン原末群と比較して、吸収がより緩やかかつ長時間にわたって持続することが確認されました。

次に、脂質低下機能の比較実験では、7日間の連続摂取後に、50%コーン油による脂質負荷試験を実施。ここでも、クリルおよびMCTにセサミンを溶解した群が、血中トリグリセリドの上昇を有意に抑制する結果が得られました。これにより、持続的な吸収と機能発現の両立が可能であることが示されました。

さらに、マトリックス形成の視覚的確認も行い、偏光顕微鏡を用いて油性成分がマトリックスに分散している様子が観察されました。この構造は、消化管内での緩やかな放出を可能にし、持続的な吸収を実現すると考えられています。

学会での反響

日本薬剤学会第40年会での発表後、研究者及び企業関係者からの活発な質問があり、関心の高さが伺えました。クリルオイルが形成するエマルションの吸収メカニズムや、マトリックスからの放出の詳細なメカニズムについての質問にも、明確に回答されたことで、研究の信頼性が確認されました。

本研究の意義

この研究は、難吸収素材に関する課題を解決するための新しい視点を提供するものであり、特に製品開発を考える企業にとって有力なヒントとなるでしょう。三生医薬は、この技術をもとに新たな付加価値を提案し、開発型OEMとしての進化を目指しています。

また、研究責任者は「クリルオイルとMCTオイルによるマトリックス構造は、吸収が難しい素材を機能させることに寄与します。この技術は、機能性素材の可能性を最大限引き出すものです」とコメントしています。

今後の動向にも注目が集まる中、三生医薬の取組みが多くの人々の健康に貢献することが期待されます。