日立、仮想発電所制御技術を開発
日立製作所が京都大学と協力をして、新たな仮想発電所(VPP)制御技術を開発しました。この技術は、地域や都市の持つ多様な価値観をリアルタイムに反映し、安定的なエネルギー運用を実現するものです。
概要
近年、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが進められる中で、地域住民の意見や価値観を積極的に反映したエネルギーシステムの必要性が高まっています。従来のVPP制御は、コスト削減など固定的な指標に基づいて最適化されがちであり、地域の多様な価値観を取り入れることは容易ではありませんでした。そして、日立はこの問題を解決するために新たな制御技術を開発したのです。
技術の特徴
新たな制御技術の特長は以下の threeつの要素に分かれています。
1. モデル予測制御(MPC)
モデル予測制御を使って、数理モデルに基づきエネルギー資源の動的な配分を行います。これにより、発電と蓄電池など異なる設備を最適に運用し、需要と供給のバランスを保ちながら、各種制約条件を満たすことが可能です。
2. Preference Learning技術
この技術では、コミュニティ内の参加者が望ましい選択肢を選ぶだけで、専門知識がなくても直観的にシステムの制御を調整できます。選択に基づく学習によって、社会全体のニーズに合わせたVPPの運用が可能となります。
3. ロバスト制御技術
この技術は、エネルギー供給の安定性を保ちながら、コミュニティの意志を反映した資源配分を行う二重ループ型のフィードバック制御を採用しています。急な需要の変動にも対応できるよう、補償機能が組み込まれています。
効果の確認
シミュレーション実験の結果、CO2排出量に注目した場合は約20%、コスト重視では約16%の削減を確認しており、地域ごとの異なる価値観に対しても安定的な運用が可能であることが証明されました。
今後の展望
日立は、この技術を地域参加型の実証を通じてさらなる高度化を目指します。また、AIの活用によって、Lumada 3.0へとつながる更なる発展を図ります。地域社会の多様な価値観を反映したエネルギー運用を通じて、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを続けていくことが期待されています。
特に、2025年にはオーストリアで開催されるIEEE SMCに本成果の一部を発表する予定です。これにより、国際的にもその成果が認識されることになるでしょう。
日立製作所の新たな試みが、持続可能な社会作りに貢献することに期待が寄せられています。