新技術の全貌
工学院大学において、環境化学科の桑折仁准教授が推進する新しい熱電発電モジュールが、排熱を電力へと変換する能力を大幅に向上させました。このモジュールは、特に複雑な形状を持つ熱源にも対応できるため、工場や住宅におけるエネルギー効率を飛躍的に高める可能性があります。
熱電発電とは?
熱電発電は、わずかな温度差から電流を生み出す技術で、主に排熱の有効活用が期待されています。従来の技術では、セラミック基板を使用していたため、形状が制限されていました。これに対し、桑折准教授が開発した新しいフレキシブルモジュールは、陽極酸化アルミニウム基板を採用しています。これにより、より自由な形状に変形できるようになり、応用の幅が広がりました。
特徴と利点
この新しいモジュールは、以下のような特徴を持っています。
- - 柔軟性のある設計: 熱パイプや配管など、様々な熱源に巻き付けることができ、安定した電力供給が可能です。
- - 高熱伝導性: 従来の高分子基板を上回る熱伝導性を備えており、熱抵抗を低減します。
- - 自立電源: 電源が確保しにくい地域でも機能する可能性があり、持続可能なエネルギーの実現に向けた新しい選択肢を提供します。
今後の展望
工学院大学では、この技術の社会実装を目指し、10月23日にJST新技術説明会をオンラインで開催します。このイベントを通じて、企業との連携を強化し、さらに多くの人々にこの技術の利点を周知させることが計画されています。参加は無料ですが、事前の申し込みが必要です。
特許情報
この発明は特願2025-022763として出願されており、学校法人工学院大学が出願者となっています。ソリューションが実用化されることで、未来のエネルギー問題に対する重要な一歩になると期待されています。
まとめ
このフレキシブル熱電発電モジュールは、熱源を電力資源として再利用する可能性を秘めています。工学院大学の研究成果は、エネルギー効率の向上だけでなく、持続可能な社会の実現に向けた大きな一歩となることでしょう。排熱回収の新たな時代が始まることを、私たちは期待しています。