福永CEOの挑戦
2024-09-10 13:59:11

宇宙ビジョンを描く「cosmobloom」と福永CEOの挑戦

宇宙ビジョンを描く「cosmobloom」と福永CEOの挑戦



2024年9月10日、東京都企業立地相談センターは、宇宙ベンチャー企業「株式会社cosmobloom」代表取締役CEOの福永桃子氏へ行った取材内容を公開しました。宇宙太陽光発電の実現を目指す企業として、同社の取り組みや背景について詳しくご紹介します。

宇宙太陽光発電に挑戦する“ゴッサマー構造”の先駆者


近年、宇宙事業は国家主導から民間企業の主導へと変化してきています。この流れは、政府が今後10年間で宇宙分野の先端技術開発を行う民間企業や大学に1兆円を支援する「宇宙戦略基金」を立ち上げたことからも明らかです。その中で2023年4月に設立された株式会社cosmobloomはさまざまな期待を集めています。

福永氏は、「当社は宇宙開発において軽量性、展開性、収納性に優れたゴッサマー構造に特化しています。これは、今後の宇宙開発に不可欠な技術です」と語ります。特に人口増加に伴い、宇宙での居住モジュールや宇宙ステーションの構造物が必要とされることが強調されました。日々この新技術に取り組んでおり、同社の強みである数値解析シミュレーションツール「NEDA」はその中心にあります。

「NEDAは、国際宇宙ステーションで技術革新を実現するための基盤です。これにより、近年増えている宇宙ベンチャー企業からのニーズが広がっています」と福永氏は自信を持って述べました。

宇宙ごみ削減のためのデオービット装置


宇宙開発において、もう一つの重要な課題が“宇宙ごみ”の問題です。福永氏は「私たちは、運用終了後の小型衛星を大気圏に突入させて燃やす装置『デオービット装置』を開発しています」と語ります。この装置は、運搬が容易なサイズでありながら、宇宙においる微小な大気抵抗を受け止める能力を持っています。今後、実証実験を完了し、技術を社会に提供することを目指しています。

宇宙太陽光発電システムへの貢献


さらに注目すべきは、宇宙太陽光発電システム(SSPS)の実現に向けた取り組みです。このシステムは宇宙で生成した電力を地上に送る仕組みであり、福永氏の言葉を借りると、「2050年にカーボンニュートラルを達成するために、私たちの技術は不可欠です」と明言しています。

同社は、膜面アンテナの開発に取り組んでおり、将来的には大規模な発電施設の構築を目指しています。収納性能や展開性能に優れるアンテナがなければ、宇宙でのエネルギー生成は困難です。福永氏は「宇宙でエネルギーを効率的に生産し、環境負荷を低減する技術を提供したい」との意欲を示しました。

大田区の立地メリットと今後の展望


最後に、福永氏は大田区内の「六郷BASE」という創業支援施設のメリットについて触れました。「私にとって大田区は特別な場所です。商業的な利用がしやすく、製造業とのつながりがあることが魅力です」と語り、今後の経済活動の進展に期待を寄せました。また、交通アクセスの良さも重要で、「京急バスが近く、羽田空港にアクセスも良好です。これは商業活動の促進にも寄与しています」と話しました。

このように、株式会社cosmobloomは今後の宇宙開発において大きな躍進が期待されています。コスト効率に優れたソリューションを提供しつつ、持続可能な社会を実現するために全力で取り組んでいく意向を示した福永CEOの情熱は多くの人々を惹きつけることでしょう。


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