SUPWATとISCが連携し次世代ロケット用燃料タンクの設計最適化に向けた取り組みを開始
株式会社SUPWATは、将来宇宙輸送システム株式会社(ISC)との協業により、次世代ロケット向けの極低温対応燃料タンクの設計最適化システムを開発しました。このコラボレーションは、高頻度で大量の宇宙輸送を実現しようとするISCの理念のもと、2024年12月の完了を目指して進められています。
宇宙輸送の現状とチャンス
ロケットにおける燃料タンクは非常に重要な要素です。特に、液体燃料を使用するロケットにおいては、燃料およびタンクがロケット全体の重量の70%を占めると言われています。安全性はもちろんのこと、軽量化や貯蔵効率の向上、耐圧性や強度の確保が求められます。使用される液体燃料には、極低温環境に対応できる性能が必要で、これは開発上の大きな課題となっています。
新しい技術の可能性
SUPWATとISCの協力により、サロゲートモデルと呼ばれるAI技術と構造解析を組み合わせた新しい設計最適化システムが開発されました。このモデルは極低温環境でのタンクの挙動を予測するためのもので、設計過程での問題を解決するために幅広く活用されます。
特に、第1フェーズでは、タンクの力学応答を予測し、設計の最適化を行うAIモデルを開発しました。このシステムは、軽量化と安全性など複数の条件を同時に考慮できるため、より優れた設計が可能になります。さらに、最新のタンク内壁の自動積層製造(AFP)技術にも対応しています。
将来に向けたデザインと構造
第2フェーズでは、この設計最適化システムを活用し、タンクの構造をさらに最適化していく予定です。特に、タンク口金からのリークを防ぐための構造設計が重点的に進められます。これにより、ロケットの実用化に向けた技術の拡張が期待されています。
幅広い応用と展望
この新しいサロゲートモデルによる設計最適化システムは、航空宇宙分野にとどまらず、さまざまな産業への応用が期待されています。例えば、自動車の次世代燃料タンクや重機、建機、さらには極低温の貯蔵タンクなど、多くの応用可能性があるとされており、将来的には製造業全体の技術革新に寄与することが目指されています。
企業の背景とビジョン
SUPWATは、「知的製造業の時代を創る」というビジョンを掲げ、製造業のエンジニアリングチェーンを最適化するためのDXプラットフォーム「WALL」を提供しています。一方、ISCは「毎日、人や貨物が届けられる世界を宇宙でも」というビジョンのもと、次世代輸送システムを実現しようとしています。両社の協力によって、未来の宇宙輸送のための技術革新が実現することが期待されています。
今後もSUPWATは、宇宙輸送コストの削減とともに、製造業界全体における技術革新を目指してまいります。