夏目光学が「ものづくり日本大賞」で優秀賞を受賞
長野県飯田市に本社を構える夏目光学株式会社が、2026年3月5日に発表された第10回「ものづくり日本大賞」で優秀賞を受賞しました。この受賞は、同社の技術者である平栗健太郎氏と東京大学先端科学技術研究センターの三村秀和教授を中心にした研究グループ計7名の成果に基づいたもので、受賞対象となったのは「ナノサイズの微小世界から何億光年も彼方の宇宙を探る高精度X線ミラーの開発」です。
受賞の背景
この優秀賞は、経済産業省、国土交通省、厚生労働省、文部科学省の4省が共催するものであり、産学連携の成果が高く評価された結果です。夏目光学と東京大学との13年間にわたる共同開発により、国内唯一の精密転写技術が確立され、これが受賞に繋がった形式です。
高精度X線ミラーの技術
X線は、通常のレンズでは屈折させることができないため、特別なミラー技術を用いて浅い角度で反射する必要があります。このため、ミラーの表面形状をシングルナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)レベルで制御しなければなりません。夏目光学は、長年の経験を活かして、加工、計測、電鋳転写の三技術を融合させ、高形状精度のX線ミラーの量産を実現しました。
開発されたX線ミラーは、生命と環境の研究など、多岐にわたる先端科学の研究施設に納入され、特にNASAの太陽観測ロケット「FOXSI-4」にも日本製ミラーが搭載され、国内外での評価を得ています。
産学連携の進化
夏目光学と東京大学先端科学技術研究センターの連携は、2012年から始まりました。この共同開発は、X線光学素子の新たな方向性を見出すものであり、ナノメートル単位での高精度な加工技術を高度に発展させました。その結果、放射光施設SPring-8などにおいても高効率なX線集光が実現されています。
また、2023年4月には夏目光学の寄付により東京大学に「先端光学素子製造学」部門が設立され、さらなる技術革新が期待されています。
受賞伝達式と講演内容
2026年3月26日、夏目光学テクノロジーセンターで行われた受賞伝達式では、経済産業局の産業部長が出席し、平栗氏と三村教授が記念講演を行いました。平栗氏は、自社の研磨技術が大きなブレイクスルーをもたらしたことを説明し、三村教授は新技術への関心の重要性を若い世代に伝えました。
今後の展望
今回の受賞を受けて、夏目光学はさらなる高精度なX線ミラーの供給体制を整備し、東京大学との協力を続けつつ、研究分野で必要とされる光学素子の安定供給に取り組む方針です。
夏目光学株式会社について
1947年に設立された夏目光学は、長野県飯田市で高精度光学素子と光学ユニットの開発・製造を行っている企業です。コンプレックスな要求に応じた光学システムを提供し、ナノメートル精度が要求される分野において世界的に高い技術力を有しています。未来の光技術を創造することで、科学技術の発展に貢献し続ける存在です。
詳しい情報は、
夏目光学株式会社のウェブサイトをご覧ください。