近年、東京都心部の中古マンション市場において、地域ごとの価格動向が大きく異なっています。特に東京都心の5つの特別区—千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区—では、富裕層向けの高額物件が急激に価格を上昇させており、全体の平均単価を押し上げる要因となっています。この記事では、東京都23区内で価格が上昇しにくいエリアの中でも、特に高騰しやすいマンションについて詳しく探ります。
価格二極化の現状
現在、東京都心部では高級マンションの需要が高まり、一方で郊外では価格が安定しているという二極化の現象が起きています。この傾向の背景には、富裕層や投資家たちによる高額物件への関心の高まりがあります。特に、1億円以上の物件取引が活発で、それが都心5区の価格を押し上げる主要因となっています。
逆に、近隣県—埼玉県、千葉県、神奈川県—では、大きな価格変動が無く、安定した需要と供給のバランスが続いています。
価格が上昇しづらいエリア
東京都23区には、必ずしも全てのエリアが価格上昇を見せているわけではありません。特に国道16号線内側に位置するエリアでは価格高騰率が5%未満の地域も存在します。今回はその中から以下のエリアに注目しました。
1.
文京区本郷: この地域は一般的に住宅需要が低く、大学が周りに多いため特定の需要に特化しています。そのため、急激な価格上昇には至りづらいと考えられます。また新たな開発が進んでいないため競争も少ない状況です。
2.
品川区南大井: 周辺には主要な駅がありますが、交通の利便性が相対的に低く、再開発や商業施設が不足しているため価格が上がりにくい傾向があります。工業地域も多く、住居需要が限定されがちです。
3.
江東区大島: 大島エリアは海抜が低く、洪水時には浸水被害が予想されるため、投資としての魅力が薄れています。河川の影響を受ける可能性が高く、これが価格上昇を妨げています。
上昇しやすいマンションの特徴
それでは、上記のエリアで販売されているマンションの中で、価格が上がりやすい特徴を見ていきましょう。データによれば、新耐震基準に合うマンションや駅から徒歩10分以内の物件は、価格が上がりやすい傾向が確認されています。特に、文京区本郷の場合、2001年以降に築かれたマンションでは約半数が価格上昇を見込んでいます。品川区南大井と江東区大島でも1983年以降築の物件が高まっていることがデータから明らかになっています。
市場の将来を見据えて
これらのエリアでは、特殊な要因が価格に影響を及ぼしており、今後の市場動向に注視が必要です。特定の需要に応じた戦略を考え、安定した投資を行うためには、データと市場分析が欠かせません。マンションリサーチ株式会社では、継続的に不動産市場の調査を行い、評価指標の研究・開発を進めており、有益な情報を提供しています。更に詳しい情報は、以下のリンクをご参照ください。
著者プロフィール
福嶋真司(ふくしま しんじ)
マンションリサーチ株式会社のデータ事業開発室で不動産データ分析を担当。早稲田大学で経営システム工学を学び、その後大手不動産会社においてマーケティング調査に携わる。現在、不動産市場調査と業界の意思決定を支援する役割を果たしている。