2025年首都圏における『敷金・礼金』動向
株式会社LIFULL(ライフル)が運営する不動産サービス「LIFULL HOME'S」は、2025年の首都圏における賃貸物件の「敷金・礼金」に関する調査結果を発表しました。物価の上昇が家賃にも影響を与え、住まい探しの初期費用を抑えることが重要になっています。この背景を把握しながら、最新の動向を見ていきましょう。
初期費用の抑制が求められる理由
現在、日本における生活費は年々上昇しており、特に賃貸市場ではその傾向が顕著です。これにともない、賃貸契約時に必要とされる「敷金」や「礼金」といった初期費用の負担が、今まで以上に重要な課題となっています。特に敷金0や礼金0の物件の流入が目立ち、経済的な負担を軽減する選択肢として位置付けられています。
調査結果サマリー
調査対象は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県における居住用賃貸物件で、2024年から実施された第2回調査の結果です。主なポイントは以下の通りです。
敷金について
1. 敷金0物件の割合が増加。特に賃料10万円以上15万円未満の物件では、前年に比べて12.6ポイント増加し、46.4%に達しました。
2. 敷金の平均は全体で1.03~1.10ヶ月に収束し、特に賃料20万円以上の物件では1.18ヶ月から1.10ヶ月に減少しました。
礼金について
1. 20万円以上の賃料帯では礼金0物件が42.3%に増加。
2. 礼金の平均額は依然として1ヶ月分程度が続いていますが、特に賃料帯によって差が見られます。10万円以上15万円未満では微増にとどまりました。
敷金・礼金制度の変化
敷金制度は江戸時代まで遡りますが、現代の賃貸契約における明確なルールの確立が求められています。特に、最近ではクリーニング費用などを契約時に含める動きが顕著になっています。礼金制度も、多くの住居者にとって負担となっているため、敷金・礼金ゼロの物件が増えている現状を反映したものと言えます。
新たな賃貸形態の登場
今後、賃貸市場では単に敷金・礼金がかからない物件の増加だけでなく、光熱費が込みのサブスクリプション賃貸や、美容院や飲食費用が無料になるようなサービス付き賃貸が注目されています。このような新しい選択肢は、住まいを選ぶ際の決定的な要因となり得るでしょう。
今後の展望
調査を通じて、敷金・礼金ゼロ物件の存在感がますます高まっていることが明らかになりました。その一方で、賃貸住宅の高品質や付加価値の提供が求められる時代にも差し掛かっています。たとえば、断熱や省エネ性能の向上といった側面に投資することで、賃料上昇の中でも魅力的な不動産を提供できる可能性が広がります。
今後の賃貸市場は、初期費用だけではなく、サービスや質にも重視される傾向が続くでしょう。これからの住まい選びには、こうした変化をしっかりと把握し、賢い選択をすることが重要になってきます。