CEDESTシステムによるリサイクル革命
近年、環境問題が深刻化する中で、リサイクルの重要性が高まっています。特に、小型家電に含まれる貴金属やレアメタルの再利用が求められていますが、収集される廃製品の多様化やリチウムイオン電池による火災のリスクから、リサイクル工場の効率が妨げられています。ここに目を付け、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)による新たなプロジェクトが動き出しました。
CEDESTシステムの概要
「CEDESTシステム」は、効率的かつ安全に廃小型家電をリサイクルするための無人選別プラントです。このシステムは、国立研究開発法人 産業技術総合研究所が主導し、大栄環境や佐藤鉄工などの企業と連携し開発されました。その目的は、高度なリサイクルに向けた基盤技術を確立し、将来的には完全無人化を目指すことにあります。
システムの特徴
CEDESTシステムは、廃小型家電の中でも特に重要な6品目──スマートフォン、タブレット、フィーチャーフォン、デジタルカメラ、ビデオカメラ、小型ゲーム機──を対象にしています。これらの製品から貴金属や銅、レアメタルを選別し、再利用することが可能です。注目すべきは、AIを駆使した選別システムにより、各機器がどれであるかを瞬時に識別し、最適な処理へと導くことができる点です。
六つのコア装置
1.
製品ソーター: 廃小型家電を混合した状態で投入し、AIによって識別、選別します。
2.
電池解体システム: 構造解析に基づき、安全にリチウムイオン電池を処理します。
3.
CFS型筐体解体機: 残りの家電製品を安全に解体し、火災リスクを回避します。
4.
モジュールソーター: 解体後のモジュールをAIで識別し、再処理へと送ります。
5.
CFS型基板剥離機: プリント基板を選別し、電子素子を分離します。
6.
トランスフォーマブル選別システム: 全体の運転をコントロールし、最適条件での選別を実現します。
実証運転の予定
CEDESTシステムは、2024年度に大阪堺市の大栄環境グループ・DINS関西株式会社に移設され、無人運転の試験が始まります。この実証プラントでは、各装置の性能評価や実用性の検証を行い、無人選別システムの基礎を築いていく予定です。元々、リサイクルのための労力を軽減し、より効率的な資源循環を達成することが目標です。実証機の処理能力は、最大7200台/時を誇り、その高効率性が期待されます。
今後の展開
CEDESTシステムの進化は止まりません。試験の結果をもとに、さらに対象製品や回収素材の拡張を進めていきます。将来的には、完全自動化を実現し、世界的なリサイクル産業においても先駆的な役割を果たすことを目指しています。
システムの詳細は、2023年9月29日に東京で開催される「モノづくり日本会議」にて報告される予定です。リサイクルの未来を担うCEDESTシステムの動向に、今後も注目が集まるでしょう。