新しい時代の福利厚生が求められる理由
近年、企業の福利厚生制度が大きな変化を遂げている。その背景には、ESG投資の拡大や働き方の多様化、さらには少子高齢化に伴う人手不足がある。これらの要因により、企業は今までの制度を見直し、人材に対する投資を進める「人的資本経営」を意識するようになった。
福利厚生の過去から現在へ
日本における福利厚生は明治時代に始まり、その内容は時代に応じて様々に変化してきた。1970年代から1980年代にかけては、豪華な社宅や社員食堂など「ハコモノ」が中心であったが、1990年代からはコスト削減の影響でこれが減少し、1990年代からは福利厚生代行サービスが台頭してきた。
その後、2010年代からは自己啓発やウェルビーイングといった新しいテーマが注目されるようになった。特に人材を「資源」としてではなく「資本」と捉える考え方がますます広がる中で、福利厚生の捉え方も変化している。
社員の英語力向上を支える「スピークバディ」
人口減少や円安といった社会的背景により、企業は英語力向上を喫緊の課題と捉えざるを得なくなっている。特に海外からの人材受け入れが進む中で、社内のダイバーシティを高めるためには、社員一人ひとりの英語力が重要である。「スピークバディ」のようなAI英会話サービスは、社内の人材育成においても新しい選択肢として注目されている。
課題解決に向けた導入の広がり
現在、100社以上の企業で「スピークバディ」が採用されており、製造業や金融業、IT・コンサルティング業、宿泊・観光業など多岐にわたる。導入事例の中には、社員が自主的にキャリアを形成しやすくするための施策として位置づける企業もあり、この流れは今後さらに続くと予想される。
他の福利厚生サービスの展開
audiobook.jp 法人版
もう一つの注目すべきサービスは、「audiobook.jp 法人版」である。これはビジネス書や自己啓発書を中心に、15,000点以上のタイトルを好きなだけ聴けるオーディオブックの聴き放題プランだ。通勤時間や家事の合間に音声を再生することで学びが得られるため、自律学習のハードルが大きく下がる。このサービスは、社員の成長支援としても無限の可能性を秘めている。
OFFICE DE YASAI
さらに、企業の健康経営をサポートする「OFFICE DE YASAI」も登場している。これは、健康と美味しさにこだわったサラダやスムージーなどをオフィスに届ける設置型健康社食サービスだ。全国13,000以上の拠点に導入されており、96%以上の利用率を誇っている。これは、社員満足度の向上やコミュニケーションの活性化に寄与するものであり、ますます多くの企業で採用されるに違いない。
未来の福利厚生が目指す方向性
結論として、現代の福利厚生はただの「コスト」としてではなく、社員への「投資」としての意義を強く持つようになってきた。この流れは、今後ますます加速することが予想される。企業は新しい時代のニーズに応じた福利厚生を取り入れることで、優秀な人材を引き寄せつつ、社員の成長と企業の成長を同時に実現していくことが求められている。福利厚生の進化が、今後の企業活動に与える影響は計り知れない。企業がこれらのトレンドをいかに取り入れるかが、未来の成功に直結するのだ。