高千穂交易が発表した最新のIoTセンサー「Butlr」
高千穂交易株式会社は、オフィス環境の効率化を実現するためのワイヤレスIoTセンサー「Butlr(バトラー)」の販売を開始しました。このセンサーは、熱を利用して人の動きを検知するもので、配線が不要なため、既存のオフィスに簡単に導入できるのが特徴です。近年のテレワークの普及から、オフィスへの回帰が進む中、従業員の出社状況やオフィスの利用実態をデータとして把握することが重要視されています。
バトラーの登場背景
新型コロナウイルス感染症の影響により、企業の働き方が大きく変わりました。 テレワークが普及し、今ではオフィスワークとテレワークを柔軟に選択できる「ハイブリッドワーク」が多くの企業で導入されています。しかし、出社率が実際にどうなっているのか、またオフィス内の各エリアの利用状況を正確に把握できている企業は少ないのが現実です。
最近注目を集めている「ABW(Activity Based Working)」は、働き方の多様化に伴い、オフィスの設計や運営にも影響を与えています。そのため、オフィス利用に関するデータの収集は、運営だけでなく将来的な移転やレイアウト変更の根拠にもなる重要な要素です。高千穂交易は、従来の感覚に頼るのではなく、データに基づいたオフィス運営を促進するために「Butlr」を開発しました。
バトラーの特徴
1. シンプルな設置が可能
バトラーはマグネットで簡単に取り付けることができ、電池で稼働します。これにより、配線工事が不要となり、既存のオフィスに段階的に設置することも可能です。導入にかかる初期費用や維持管理のコストを削減できます。
2. プライバシーに配慮したデータ取得
バトラーは熱を感知することで人々の動きを検知するため、視覚情報を使用する従来の手法に比べてプライバシーが守られます。個人の特定情報を収集しないため、万が一の情報流出時でもリスクが低いという強みがあります。
3. 柔軟なAPI連携
バトラーはAPIを通じたデータ連携が可能で、人数や空間利用率、位置情報などを座席管理や空調システムと接続しやすく、シームレスにオフィス環境を整えることができます。
4. グッドデザイン賞受賞
その優れたデザインが評価され、グッドデザイン賞を受賞しました。環境への配慮を持ちながら、快適で安全な空間を提供するための高度なセンサー技術が認められています。
今後の展望
このセンサーは、主にオフィスやシェアオフィス、建設、不動産業界関連の企業に販売され、3年間で3億円の売上を目指しています。また、医療や介護分野への導入も計画しています。
特に高齢者向けのサービスにおいて、プライバシーを考慮した見守り機能やAI技術を活用した転倒検出などの実現が期待されています。これにより介護現場での人材不足の解消やサービスの質向上が目指されます。
高千穂交易のサポート体制
高千穂交易は、バトラーとAPI連携することで、スマートオフィスの実現に向けたクラウドサービス「Cloom(クルーム)」でも活用を図っています。Cloomを利用することで、会議室やオフィスエリアの有効活用が展望されています。それにより、効率的なオフィス運営が実現し、企業の業務改善につながるでしょう。
まとめ
高千穂交易が提供する「Butlr」は、個人のプライバシーを考慮しつつオフィスのデータ取得を可能にし、これからのオフィス環境を大きく変える可能性を秘めています。オフィスの利用状況を可視化することで、業界全体の業務効率を向上させる役割を果たすことでしょう。