千葉大学大学院工学研究院の松浦研究室が進める「佐倉みんなのいすプロジェクト」は、公共空間に自由に座れる椅子を設置し、訪れる人々が気軽に「座る」ことを楽しむことができるまちづくりをめざしています。この取り組みでは、地域社会の様々な人々—商店、学生、小学生、そして一般市民—が協力し合って、文化と歴史が息づく佐倉城下町エリアに設置される計9脚の椅子を製作し、コミュニティの一員としての認識を高めることを目的としています。
プロジェクトのイベントとして、2025年11月16日に「佐倉みんなのいすウォークラリー」が開催される予定です。このイベントでは、参加者はマップを手に持ち、設置された椅子を巡りながらクイズを解いていきます。正解者にはさまざまな景品が贈られるため、楽しみながら知識を深めることができます。このように、椅子は単なる座る場所ではなく、地域にちょっとした楽しみを提供する要素にもなっています。
「みんなのいす」の魅力は、椅子それぞれに「誰のための椅子か」や「どんな風景をつくりたいか」といった子どもたちの物語が込められているところです。これにより、椅子が単なる物体から、地域のコミュニティに深く根付いた存在へと変わります。市民や小学生、大学生が協働で椅子を製作し、再生・リデザインを行った結果、個々のストーリーが反映された椅子が誕生します。
本イベントは、日常空間に「休む権利」を提供し、様々な居場所を創出することを目的としています。特に子どもたちが主役となるこのプロジェクトでは、地域のまちづくりに対して自らの意見を反映させる場所が提供され、彼らが主体的に参加できる機会を創出しています。また、座る行為を通じて自然なコミュニティ形成を目指す姿勢は、現代社会においてますます重要な要素です。
さらに、松浦研究室は過去に千葉市の中心部で山武ベンチやパークレットの実装を行っており、公的空間を社会実験として段階的に育てるアクションリサーチを重ねています。このような新しい試みを進めることで、地域の文化とコミュニティーをより深く結びつけていく予定です。
本プロジェクトは、佐倉市の協力もあり、地域の理解と支持を得て進行しており、参加者が楽しむだけでなく、地域活性にも寄与する内容となっています。興味のある方は、公式ウェブサイトからも詳しい情報を得ることができ、現地での体験を通して、地域の魅力を再発見することができます。また取材希望の方は、指定のメールアドレスにて申請を行っていただけます。
このように、千葉大学建築学コースの学生たちが主導する「みんなのいすプロジェクト」は、地域の人々と共に作り上げる新たなまちづくりの形を示しており、未来の市民生活にとって重要な意義を持っています。