三重県桑名市役所が新たに導入した音声AI SaaS「アイブリー」は、職員の負担を大幅に軽減し、市民へのサービス向上に寄与しています。今回の導入により、主に電話の取り次ぎ業務が75%削減され、その分の時間を職員が本来の業務に集中できるようになりました。この取り組みは、桑名市が掲げる「誰一人取り残さないデジタル社会の実現」に基づき、オンライン申請ポータルサイトの整備とともに進められてきましたが、特に代表電話への集中する問い合わせの問題が解消される見通しです。
導入の背景と課題
桑名市においては、寄せられる市民からの問い合わせが不明な部署への電話が多く、その結果、総務課に電話が集中するという課題がありました。かつては簡単にコントロールできない電話の流入により、職員は専門的な業務に集中できず、手動での電話の転送作業に追われていました。また、従来のボタン操作によるIVR機能も限界があり、依然として多くの未対応の電話が寄せられていたため、対策が求められていました。
アイブリー導入の決め手
このような背景の中、「アイブリー」の音声認識Q&A機能が導入の決定打となりました。市民が電話で用件を話すと、AIがリアルタイムで適切な部署へと転送します。約300件以上のQ&Aデータベースを基にしたこの機能は、職員の経験に依存した従来の方法を一新し、正確かつ迅速な対応を可能にします。さらに、これまで個別の職員の知識に頼っていた情報の案内業務も自動化され、いわゆる「属人化」の問題が解消されました。
導入後の効果
実際に「アイブリー」の導入後、桑名市の職員はよりコアな業務に時間を充てられるようになったことが確認されています。電話応対業務が75%減少したことで、議会や文書管理、統計、選挙運営など、本来の市の運営において重要な業務に十分な時間を確保できるようになりました。
さらに、職員が本来の業務に集中できるようになったことにより、より質の高い市民サービスが提供される基盤も整いつつあります。このことは桑名市役所の持続可能な運営にとっても重要な一歩となります。
今後の展望
桑名市役所は今後、取り次ぎ業務を完全にゼロにすることを目指しており、将来的には市役所の公式サイトの情報を「アイブリー」と連携させることを考えています。この仕組みにより、組織変更時でもホームページの更新だけで自動的に電話の転送先が切り替わる仕組みを構築できれば、市民の利便性がさらに向上することが期待されます。
まとめ
桑名市役所の「アイブリー」導入は、電話業務の効率化だけでなく、職員の働き方改革や市民サービスの質の向上にもつながっており、今後も全国の自治体にとっての模範となるでしょう。AIが持つ能力を活用し、より良い行政サービスを提供するための一環として、このような取り組みは今後も増えていくことでしょう。