水不足時代に注目されるお米栽培法「乾田直播」の魅力と導入状況
日本の農業は、ここ数年の気候変動の影響を受け、大きな変革を余儀なくされています。特に、2025年の夏には記録的な猛暑と深刻な水不足が発生し、これに伴い「乾田直播(かんでんちょくは)」という新たな栽培方法が注目を集めています。この手法が持つメリットや、実際の導入状況について探っていきましょう。
乾田直播とは?
乾田直播は、乾燥した田んぼに直接稲の種を播種し、芽が出た後に水を入れる栽培方法です。この方法は、従来の苗を育ててから田植えをする手法と異なり、米作りの効率を大幅に向上させることができます。特に、生産者の労働負担が軽減されることから、多くの農家が導入を検討するようになりました。
例えば、労働時間は約20%削減され、収穫期が約10日から2週間後ろにずれることで作業のピークが分散されることも期待されています。この結果、米の安定供給が可能になることが期待されているのです。
環境にも優しいメリット
乾田直播の大きな特徴の一つは、環境にやさしい点です。この栽培法では水を張る期間が短縮され、温室効果ガスであるメタンの排出も大幅に減少します。実証実験では、乾田直播によってメタンガスが通常の栽培方法に比べて累計65%減少したとの結果も出ています。また、代かきを行わないため、春先に発生する代かき濁水の問題も減少し、水質負荷も軽減されるという利点があります。
生産者の状況は?
株式会社ビビッドガーデンが運営する産直通販サイト「食べチョク」は、今夏の水不足の影響を受けてお米の登録生産者への実態調査を行いました。その結果、93.9%の生産者が乾田直播を認知しているものの、実際に導入しているのはわずか5.3%にとどまることが明らかになりました。しかし、67.9%の生産者が導入を検討していると回答し、今後の導入意欲が78.6%に達することがわかりました。これは、気候変動が進む中で持続可能な米作りに対する期待感の表れと言えます。
生産者の声
実際の生産者からも、乾田直播の導入に対する期待の声が聞かれます。例えば、秋田県の「みずほガーデン」では、試験的に乾田直播を導入し、水管理がほぼ不要であるため、労力が軽減されたといいます。また、兵庫県の「森田農場」も労力の分散に期待を寄せ、今後の規模拡大を見据えています。
食べチョクの取り組み
「食べチョク」は、乾田直播で育てたお米を「環境にも生産者にも優しいサステナブルな選択肢」として特集ページを公開しています。また、数量限定の新米食べ比べ便や全国250軒以上の生産者が販売するお米の情報も提供しており、消費者にとっても楽しみながら選べる機会を作り出しています。
さらに、食べチョクでは、農業を支えるためのリアルタイムなデータや情報発信を行い、持続的な米作りについての啓発活動を進めています。生産者と消費者がそれぞれの立場で考え、協力し合うことで、日本の米作りの未来も明るいものとなるでしょう。
結論
乾田直播という新たなお米の栽培法は、気候変動の影響を受けている農業界において、重要な役割を果たす可能性を秘めています。生産者の負担を軽減し、環境に優しい手法を導入することで、持続可能な未来に向けた一歩を踏み出すことが期待されています。これからも、乾田直播の普及に向けた取り組みと、これを支える実態調査が重要になるでしょう。