豊田高専発・介護DXスタートアップ「NAGARA」が始動
愛知県名古屋市に本社を置く株式会社NAGARAが、介護業界の大きな社会課題に立ち向かうため、新たな事業を本格化しました。このスタートアップは、介護現場での業務を自動化する音声AIの力を採用し、効率化と利便性の両立を目指しています。
介護業界の深刻な課題
日本は急速な高齢化社会を迎えており、その影響で介護職員が69万人不足すると予測されています。多くの介護士が、本来行うべきケア業務に加え、膨大な記録作業に時間を取られ、利用者とのコミュニケーションが十分に行えない状況にあります。NAGARAは、こうした現状を打破しようとしています。
株式会社NAGARAのCEO、岡田一輝氏は、高専在籍中に要介護の祖父の笑顔を取り戻した経験から、「ITは人の心を救える」という信念を得たと話します。この信念をもとに、介護士と高齢者のつながりをテクノロジーによって深めることを目指し、スタートアップを設立しました。
「ながらかいご」の導入と特徴
介護の現場に特化したSaaS、「ながらかいご」は、介護士が利用者との会話をしながら、その内容を音声入力することで自動的に記録が作成される仕組みです。このシステムは、IT機器の操作に不慣れな職員でも直感的に利用できるため、導入のハードルを下げ、迅速な業務改善が実現します。
主な機能
- - 自動記録作成:AIが利用者との会話から必要情報を抽出し、リアルタイムで記録を自動生成。
- - モニタリング報告書作成:日々のデータをもとに、自動で月間報告書を作成。
- - 議事録の自動作成:会議の内容を自動的に議事録として記録。
- - AIチャット機能:蓄積された情報から必要なデータを瞬時に検索し、要約します。
豊田市との連携について
創業と同時にNAGARAは、豊田市とオープンイノベーションを推進する連携協定を締結しました。この協定は、地域における高齢者福祉政策の推進と、技術を駆使した介護現場の課題解決を目的としています。市長の太田稔彦氏は、「この協力によって、社会実装が期待され、人と人がつながる新たな可能性を生み出すことができる」とコメントしました。
多彩なサポート体制
NAGARAは、介護業界の専門家や教育機関からの支援を受けており、その取り組みは多くの信頼を得ています。特に、介護DXの専門家である竹下康平氏をメンターに迎え、実践的な知見を活かした指導を受けています。また、発足以来、数多くのビジネスプランコンテストで優れた成績を収め、実績を重ねてきました。
このように、NAGARAは業界全体の課題を解決するための確固たる地盤を築いているのです。また、地域に新たな価値をもたらすための重要な一歩を踏み出したといえるでしょう。今後の進展が大いに期待されます。