津南醸造が始動する日本酒アップサイクルプロジェクト
新潟県津南町にある津南醸造株式会社が、2025年7月から「日本酒アップサイクルプロジェクト」を開始します。この取り組みは、日本酒の副産物である酒粕の活用を促進し、持続可能な社会への貢献を目指しています。津南醸造の代表取締役、鈴木健吾氏が掲げるビジョンは、地域の資源を生かし、サステナブルな未来を創造することです。
酒粕のポテンシャル
日本酒の製造過程で生まれる酒粕は、栄養が豊富で多くの機能を持っていますが、通常の食品用途だけでは有効活用が難しい状況です。これまで津南醸造は、FARM8が展開する植物性発酵ヨーグルト「醸グルト」への酒粕提供を通じて、この問題に取り組んでおり、今後はより広範な分野での利用を目指しています。
生成AIとの連携
津南醸造は、株式会社MEMORY LABとの協力を通じて、生成AIを用いた日本酒製造工程の技術調査も進行中です。これにより、新たな技術革新と酒の再活用を狙った研究開発が行われています。
プロジェクトの重点開発テーマ
プロジェクトには、以下の3つの重要なテーマがあります。
1.
酒粕由来の半導体材料の開発
酒粕の有機成分を炭素材料に変換することで、導電性素材や環境に優しい半導体としての応用を探り、再生可能な資源としての新たな道を切り拓きます。
2.
日本酒由来ナノ粒子「SAKESOME」の応用研究
日本酒の微細成分をナノ粒子レベルで分画し、化粧品や食品、農業資材への活用を目指します。現在、大学との共同研究も進行中で、学術的な側面からのアプローチも重視しています。
3.
細胞培養食品原料の検討
日本酒製造の副産物を活用し、細胞培養による新しい食品産業への応用可能性を探ります。この取り組みは、持続可能なタンパク源の確保につながり、未来の食文化に新たな選択肢を提供します。
地域から発信する循環型イノベーション
津南醸造は、地域の自然資源と伝統的な発酵技術を活用し、サーキュラーエコノミーの実現を目指します。「酒づくり」の枠を越え、食や美容、環境、バイオなど多方面への展開を考えています。今後も企業や研究機関、自治体との連携を強化し、アップサイクルを中心にした新しい価値の創出に務めていく予定です。
津南醸造のバックグラウンド
津南醸造株式会社は、新潟県中魚沼郡津南町に位置し、豪雪地帯に根差した酒蔵です。標高2,000m級の山々から湧き出る天然水を仕込み水に利用し、「五百万石」や「魚沼産コシヒカリ」を使った酒造りを行っています。「Brew for Future〜共生する未来を醸造する〜」というブランドコンセプトの下、地方の資源を最大限に生かし、革新を融合させた日本酒の提供を行っています。
2025年には技術競技会で新潟県知事賞を受賞するなど、高い技術力も評価されています。津南醸造の未来に注目が集まっています。公式ウェブサイトで、さらなる情報をお確かめください:
津南醸造公式サイト