最近、Optyino.aiの調査により、生成AIがどの程度Wikipediaを引用しているかという新たなデータが公開されました。調査は2025年から2026年にかけての約11か月間、AIが生成した42,689件の回答ログを元に実施されました。その結果、生成AI回答の中でのWikipediaの引用率は19.3%という興味深い結果が得られました。
調査によると、42,689件の回答の中で8258件がWikipediaを引用しており、これは回答単位で見ると約5件に1件がWikipediaを参照していることになります。しかし、引用URLの全体に対して新たな視点が必要です。全ての引用URLの中でWikipediaのものはわずか2.4%に過ぎず、他の情報源が多くを占めていることが分かりました。これは生成AIが多様な情報源を優先的に参照している一方、回答単位ではWikipediaの存在感が一定程度あることを示しています。
さらに、AIモデルごとの引用率には大きな開きがあり、Copilotは引用率が36.5%と最も高いのに対し、Perplexityは1.5%に留まり、その差は約24倍に達しました。これは、各AIモデルが情報源にアクセスする際の設計の違いによるところが大きいと考えられます。特に、検索エンジンやWeb検索機能と統合されたモデルがWikipediaを引用する傾向が強いことが見えてきます。
引用される内容の性質による違いも明確で、固有名詞や概念の概要を尋ねる質問に対しては29.9%がWikipediaを引用していますが、商用推薦・対照の質問ではほぼ0.0%という結果でした。この傾向は、AIが質問の性質に応じて情報源を使い分けていることを示しています。
対象領域別の分析では、ITや店舗などの領域でWikipedia引用率が62.3%を超える一方、教育やEC関連の領域ではほぼ0.0%という二極化が見られます。このことは、異なる業界においてAIが求める質問のタイプによって、Wikipediaの引用がどれだけ発生しやすいかに関係していると考えられます。
また、引用されたWikipediaページは68件にのぼり、その84.3%が日本語版でした。特に、上位10件のページが全体の68.9%を占めることからも、特定の情報源に集中している傾向が強いことが窺えます。
この調査結果は、企業が自社情報を整備する際の指針となるものであり、特に検索意図を考慮することが重要です。概要や基礎情報を求められるシーンではWikipediaの引用が見込まれるため、企業は自身の情報が正確かつ最新であるかを定期的に確認し整備しておくべきです。一方、商用目的の質問には別の情報源を活用し、比較要素や推薦要素への対策を講じる必要があります。
総じて、生成AIとWikipediaの関係は一面的ではなく、多様な視点からの解析が求められます。AIを介した情報の流通が盛んな今、企業は効果的な情報発信戦略を構築し、AIモデルや検索意図に応じたアプローチを取ることで、ブランド認知の拡大を図ることが可能となります。