日本初のFGFR異常治療薬「バルバーサ®」が尿路上皮がん患者に提供される
2025年7月16日、日本国内で新たに発売された「バルバーサ®」は、尿路上皮がんに対する唯一の遺伝子異常に基づく治療薬です。この薬は、FGFR遺伝子の異常を有する根治切除不能な尿路上皮がんに特化しており、これまで治療手段が限られていた患者さんに新たな希望をもたらします。
バルバーサ®の特長と臨床試験
バルバーサ®は、FGFR阻害剤としての特性を有し、PD-1/PD-L1阻害剤による既治療歴を持つ患者さんを対象にした第III相THOR試験の結果を受けて承認されました。この試験では、バルバーサ®グループが化学療法群に対し、全生存期間が統計学的に有意に延長され、死亡リスクを36%低下させる結果が示されています。
尿路上皮がんとは?
尿路上皮がんは、腎盂から尿道までの尿路に発生するがんであり、特に膀胱に多く見られます。2020年には約23,000人が新たに診断され、約9,600人が死亡しています。がんの進行によって生存率が大きく変動する中、特にステージIVの場合は生存率が17%以下まで低下します。
バルバーサ®の期待される効果
国立がん研究センター東病院の松原伸晃医長は、バルバーサ®が根治切除不能な尿路上皮がん患者において全生存期間と無増悪生存期間を有意に延長することを示した臨床試験結果に期待を寄せています。また、これは尿路上皮がんにおける初の遺伝子異常に基づいた個別化治療薬として大きな意義を持つとされています。
新たな治療選択肢としての位置づけ
Johnson & Johnsonの社長クリス・リーガーは「バルバーサの発売により、進行性尿路上皮がんに対する治療選択肢がさらに広がる」と語り、必要とされる患者に対して新たな道を開くことを表明しています。治療選択肢が限られていることの多いこの分野において、新薬は待望の存在となるでしょう。
まとめ
バルバーサ®は、膀胱がん治療の新星として多くの患者さんに新たな希望を提供します。臨床試験でのエビデンスに基づき、医療現場におけるその実用性に期待が寄せられています。新たな治療オプションが患者さんに与える影響は計り知れず、今後の展開にも注目が集まります。