NTTインテグレーションと日本IBM、次世代AI基盤の技術検証を開始
NTTインテグレーション株式会社と日本アイ・ビー・エム株式会社は、日本初のエンタープライズ向けAIアクセラレーター「IBM Spyre Accelerator for Power」を利用した次世代オンプレミスAI基盤の技術検証を行います。この新しい取り組みは、安全かつ効率的にAIを活用できる環境を提供することを目的としています。
背景:AI導入の課題
近年、生成AIや大規模AIモデルの導入が加速する中で、企業が本格的に業務にAIを展開する際に、多くの課題が浮上しています。一つはAI推論基盤における電力消費の急増と、それに伴うデータセンターの電力制約です。従来のGPUに基づくAI基盤は高い性能を誇りながらも、消費電力や設置要件が大きいため、持続可能なAI活用の観点からは課題となっています。
また、生成AIやRAG(Retrieval Augmented Generation)を導入・運用するには高度な専門知識が必要で、AI基盤の設計・運用が特定のIT人材に偏る傾向があるため、現場が独自にAIを利用することが難しくなっています。さらに、機密性の高いデータを扱う企業では、外部にデータを持ち出さずにAIを活用したいというニーズが高まっており、オンプレミスでのAI利用が重要視されています。
IBM Spyreの特長
これらの課題を解決するために開発されたのが「IBM Spyre」です。このAIアクセラレーターは、AI推論処理に特化して設計されており、高推論性能を持ちながらも省電力という優れた特性を持っています。一般的なGPUサーバーの場合、電源や冷却設備の変更が必要となることが多いですが、IBM SpyreはIBM Power11サーバーに統合的に搭載できるため、導入が容易です。
このように、IBM Spyreはサーバー内でAI推論を完結でき、安全性を重視する企業ニーズにこたえるオンプレミスAI基盤を構築できます。また、NTTインテグレーションはこの技術を利用して、エンタープライズ向けAI基盤の有効性を検証していきます。
技術検証の目的
今回の技術検証では、IBM Power11とIBM Spyreを組み合わせ、AI推論基盤の有効性を評価します。基幹業務データとAI処理を同じ基盤で連携させ、データ移動なしでの利用を目指します。さらに、消費電力や運用負荷についても評価し、実際の運用が可能なAI基盤かどうかも検証されます。
NTTインテグレーションはこのプロセスを通じて「クライアントゼロ」と位置づけ、自社業務においてもAIを実践的に適用し、得られた知識を将来のサービスに反映させていく計画です。これにより、様々な基盤を持つ企業が最適なAI環境を選べる「全方位的AI基盤」を整備していきます。
今後の展望
NTTインテグレーションと日本IBMは、今後IBM Spyreの実機を用いたデモ環境を整備し、お客様が具体的な性能や構成、運用イメージを確認できる機会を提供していく予定です。さらに、2026年10月には本技術を基にした次世代AI基盤サービスの提供を開始する計画です。
このように、NTTインテグレーションと日本IBMは企業のAI導入において、新たな可能性を切り拓く役割を果たすことを目指しています。今後の技術発展と企業のAI活用が非常に楽しみです。