建設業DXが遅れる中での海外ITエンジニア活用の新たな動き
日本の建設業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が、他産業と比較して約10%遅れているという現状が明らかになりました。これは、総合人材サービス会社であるヒューマンリソシアの調査によるものです。この調査では、建設業界で働く345名のビジネスパーソンから得られたデータを基に、DXの進展状況や人材不足の現実が探られました。
調査の概要
調査の目的は、建設業における人材不足の状況と海外人材の活用についての実態を把握することでした。結果として、約72%の企業がIT人材不足を実感していると回答し、特にDX推進に必要な人材不足が主要な課題とされています。この調査は、2025年3月27日から31日の間にインターネットを通じて行われ、345名の対象者からの回答が得られました。
DXの導入状況
調査結果の中で、「DXが進展している」と答えたのはわずか14.2%という結果でした。これは建設業が他の産業に比べてDXの進展が遅れている証拠です。他産業の平均は73.6%ですが、建設業は62%の企業が何らかの形でDXに取り組んでいると回答しました。このことからも、建設業におけるDX推進の遅れが明らかになりました。
IT人材の不足
調査では、IT人材が「非常に不足している」という回答が15.9%、「不足している」が30.1%、そして「どちらかといえば不足している」が26.1%でした。合計すると、72.1%の企業がIT人材不足を感じていることが分かりました。また、今後3年、5年にわたってIT人材不足がさらに悪化すると見込む企業も多く、56.5%と55.1%が「拡大する」と予測しています。このことは、特に建設業界における技術者不足が深刻なものであることを示しています。
海外ITエンジニアの活用
一方で、DXが進展している企業ほど海外ITエンジニアの必要性を強く認識しています。調査の結果、8割以上の企業が国外からのITエンジニアの採用を検討しているとのことです。具体的には、「積極採用している」とする回答が20.9%、すでに採用しているがさらに採用を進める意向のある企業が42.8%で、合計で63.7%が海外ITエンジニアの採用を検討していることが分かりました。
特にDXが進展している企業においては、83.7%が「海外ITエンジニアが必要」と認識しており、DX推進のための重要な要素であることが明らかとなっています。
まとめ
このように、建設業界はDX導入が遅れており、IT人材不足がその要因となっています。しかし、海外ITエンジニアの活用が解決策として注目されており、今後の世界的な人材の流動化を考えると、いかにしてこれらの人材を効果的に活用していくかが、建設業における競争力を左右する重要な要素となります。未来の建設業を支えるためには、国境を越えた人材活用が待たれています。