ヘルシンキ・スタートアップエコシステム交流プログラムの報告
2025年11月、京都リサーチパーク株式会社(KRP)は、海外展開を志向するスタートアップ向けに「ヘルシンキ・スタートアップエコシステム交流プログラム」を実施しました。このプログラムでは、北欧最大のスタートアップイベント「SLUSH」への参加や、現地のスタートアップハブ、企業誘致・支援機関との交流を通じて、参加企業に欧州市場進出のためのネットワーキングと知見獲得の機会を提供しました。
背景
ヘルシンキ市は、充実したスタートアップエコシステムが整っており、北欧で有数のスタートアップハブとして知られています。「SLUSH」は世界中の起業家や投資家が集まるイベントで、毎年約13,000人が参加します。このイベントでは、最新の技術やビジネス連携の機会が提供され、多くの起業家にとって重要なプラットフォームとなっています。
目的
本プログラムの主な目的は、KRPに入居する企業を通じて、新たなビジネスチャンスの創出と国際的な視野の拡大を支援することです。今年度は、SLUSHへの参加に加え、ヘルシンキ市の企業誘致・支援機関「ヘルシンキ・パートナーズ」やスタートアップハブ「Maria 01」との交流を実施しました。さらに、京都市の「京都スタートアップ・海外展開支援プロジェクト」との連携で、参加企業が150名以上の観客の前でプレゼンテーションを行う機会も得ました。
プログラムの概要
参加期間は2025年11月16日から22日までの7日間、渡航先はフィンランドのヘルシンキ市で、参加企業は株式会社エルシオ、SPACECOOL株式会社、株式会社Surg storageの3社です。主な活動内容には、SLUSH展示会への参加や、現地のスタートアップ支援機関との交流が含まれています。
行程
- - 11/16(日): 出国
- - 11/17(月): Maria 01訪問、Sisu Launchpad Program見学
- - 11/18(火): Japan×Finlandネットワーキングイベント参加
- - 11/19(水): SLUSHデー1、サイドイベントでのピッチ
- - 11/20(木): SLUSHデー2、Business Ouluイベント参加
- - 11/21(金): Helsinki Partnersとの交流
- - 11/22(土): 帰国
参加企業の取り組み
株式会社エルシオ
「オートフォーカスグラス」という自動でピントが合うメガネを開発しているエルシオは、フィンランドの眼鏡市場の競合調査を目的として参加しました。現地の競合企業と直接会話するチャンスを得たことは、同社にとって非常に貴重な経験となったようです。
SPACECOOL株式会社
SPACECOOLは、zeroエネルギーで外気より低温となる新素材を開発しており、欧州のエコシステムとのつながりを強化するために参加しました。他の参加企業との出会いや、基調講演を行った教授との関係構築が進展の鍵となりました。
株式会社Surg storage
医療データビジネスの機会拡大を目指すSurg storageは、BIOバンクなどの医療データ利活用の現状を把握し、今後の可能性を模索しました。この交流プログラムを通じて、フィンランド及び欧州での市場展開のみにとどまらず、信頼できるビジネスパートナーの発掘にも成功しました。
結論
今回の交流プログラムを通じて、参加企業は北欧・バルト地域のスタートアップエコシステムを体験し、重要なネットワークを構築できました。また、SLUSHや多様なイベントでのピッチを通じての学びは、彼らの国際展開を視野に入れた戦略に大きな影響を与えました。今後もKRPは、スタートアップの海外展開を支援するため、継続的にネットワーク構築や協業の機会を提供していく所存です。
参考情報