全国ロードキル調査結果報告
特定非営利活動法人「人と動物の共生センター」は、2019年から日本全国の猫の野外での死亡(ロードキル)について調査を行っています。2024年度の最新結果が発表され、猫の死亡数が殺処分数を大きく上回り、127,730頭が推計されることが明らかになりました。
調査の背景
近年、各地で殺処分ゼロが実現している一方で、野外で亡くなる猫の数は依然として多く、特に交通事故が主要な要因とされています。この調査は、地域の人口や最低気温といった要因との関連を探り、さらに、野良猫に対する不妊去勢手術(TNR)の実施状況やその助成制度の影響を検証することを目的としています。
調査概要
調査は全国の政令指定都市と中核市を対象に実施され、自治体に対して郵送およびFAXでアンケートを行いました。調査期間は2023年9月15日から10月31日までで、77自治体が回答しました。
主な結果
- - 猫の回収数は2023年に48,459頭に減少し、前年の79,178頭から37.5%の減少を示しました。このデータから推計すると、全国で死亡した猫の数は127,730頭と見積もられます。
- - 猫以外の動物については、過去5年間で12.4%の増加が見られました。これにより、猫の数が相対的に減少し、他の動物種の生息環境が改善されている可能性も示唆されています。
助成制度の影響
調査結果から分かったことの一つは、飼い主のいない猫への助成制度を持つ自治体は、対策がない自治体に比べてロードキル数が減少しやすいという点です。具体的には、助成数が多いほど減少率が高いという相関関係がありました。
結論と今後の課題
猫のロードキル数が減少傾向にあるのは、TNR活動の普及や地域活動が寄与していると考えられます。しかし、依然として多くの課題が残されています。特に助成制度の拡充や公平な運用、民間団体への支援強化が求められます。
「人と動物の共生センター」は、今後も人と動物が共に生活する中で直面する課題の解決に取り組んでまいります。