肝臓と脂肪肝炎の新発見
2025-03-12 11:12:24

肝臓の脂肪肝炎発症メカニズムに迫る新たな発見を紹介

脂肪肝炎研究の新たな一歩


近年、非アルコール性脂肪肝炎(MASLD/MASH)が世界中で急増しています。この病気は肝臓に脂肪が蓄積することにより、炎症が引き起こされ、最終的には肝硬変や肝臓癌を引き起こすリスクがあります。しかし、具体的な疾患のメカニズムや効果的な治療法は依然として不明な点が多く、研究者たちはその解明に努力を続けています。

最近、早稲田大学の研究グループが中心となり、MACLD/MASHの発症メカニズムの一端を解明する重要な成果が発表されました。研究の中心となったのはNwd1遺伝子で、この遺伝子が肝臓内のカルシウム恒常性にどのように関与しているかを探るものでした。

研究の背景と目的


肝臓は、脂質代謝や解毒機能など、多様な役割を担う重要な臓器です。これまでの研究で、肝臓の脂質代謝には多くの遺伝子が関与していることが知られていますが、その中でもNwd1遺伝子が特に重要であることが新たに示されました。この遺伝子は、細胞内のカルシウムの輸送を制御するタンパク質であるSERCA2と相互作用し、小胞体内のカルシウム恒常性を維持する役割を果たします。

研究結果の概要


研究では、Nwd1遺伝子を欠失したマウスを用いた実験が行われ、その結果、肝臓に脂肪が過剰に蓄積し、線維化や炎症性の細胞死が引き起こされることが確認されました。これらの症状は実際のMASH患者に見られるものと非常に類似しており、Nwd1が脂質代謝において重要な役割を果たしていることが強く示唆されました。

この研究成果は、世界中の約30%の人々が影響を受けるとされている非アルコール性脂肪肝炎の病因に新しい視点を提供するものです。Nwd1遺伝子の機能をターゲットにした新しい治療薬の開発への期待が高まっています。

研究の影響と今後の展望


本研究の発表によって、肝臓における脂質代謝異常に関わる疾患の理解が深まると共に、今後の治療戦略や予防法の開発に向けて重要な一歩となるでしょう。特に、Nwd1やSERCA2をターゲットとした新薬の開発が進むことで、MASLD/MASHの治療に向けた革命的な進展が期待されます。

研究チームの榊原教授は、「肝臓疾患は未だに多くの課題を抱えていますが、今回の研究により新たな知見が得られたことは非常に意義深い」とコメントしています。

論文情報


この研究成果は、2025年3月11日に『Communications Biology』に掲載され、今後の研究活動にも大きな影響を与えることでしょう。

今回の研究を通じて、肝臓における脂肪代謝機構の理解が深まり、持続可能な治療法の開発が進むことが期待されます。


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