オンチェーン金融の安全性が進化する
オンチェーン金融—つまり、ブロックチェーン上で提供される金融サービス—の市場は急速に成長しています。この分野においては、企業や機関投資家の参入が期待される一方で、その安全性が非常に重要な課題となっています。この問題を解決するために、アライドアーキテクツ株式会社はNyx Foundationと手を組み、AIエージェントを利用してDeFi(分散型金融)プロトコルのセキュリティ耐性を検証する実証実験(Proof of Concept、以下「本PoC」)を開始しました。
DeFiの急成長とその課題
近年、DeFiに預け入れられている資産は大幅に増加し、2026年には全チェーンで合計約1,000億〜1,700億ドルに達すると予測されています。特に、ドル連動のステーブルコインはその時点で過去最高の時価総額を記録し、トークン化された現実資産も急増しています。このように、金額が大きくなるにつれ、いかに安全性を確保するかが求められています。
AIによる新しいアプローチ
このPoCでは、AIバグ発見システム「SPECA」と形式検証エージェントを導入し、コントラクトのロジックから運用、さらにはガバナンスの仕組みまでを対象としたセキュリティ評価を行います。この手法により、上場企業や機関投資家が安全にオンチェーン金融に参加できる道を開くことが狙いです。
最近の調査によれば、コードの欠陥ではなく、実際の運用や設定が原因で多くのトラブルが発生しています。特に、フロンティアAIの発展により、プログラムの脆弱性を見つける作業は一般的になってきていますが、それに対処するだけでは不十分です。したがって、本PoCでは「コードの正しさ」だけでなく、運用や設定を継続的かつ数学的に保証できるかどうかも考慮することが重要になっています。
課題を解決するための具体的な手法
本PoCでは、AIを活用した検証方法により、監査の属人性やスポット性を解消し、バージョンアップのたびにシステムの品質を保つことを目指します。また、複数のDeFiプロトコルを横断的に評価することで、トレーダーが利用する実態に即した安全性評価を提供することも目指しています。
例えば、具体的にはAIの出力は人間による最終確認を経て実行し、最終的な責任は人間にあります。そのため、各チェックはJSON形式で記録され、第三者が検証可能な証拠として保管されます。これにより、不明点があれば誰でも追跡できる形を取ることができます。
今後の展開
両社は、実証実験を通じて収集したデータをもとに、検証の標準化と量産化を進める予定です。最終的には、検証ログや再現コードを再利用可能な資産として公開することで、透明性を高め、安全性を可視化し、利用者にとっての安心度を向上させることを目指しています。
このプロジェクトにより、企業や機関投資家にとって、オンチェーン金融の参入がより現実的で安全なものとなるでしょう。オンチェーン金融のインフラを強化する取り組みは今後も進んでいくと同時に、より健全で持続可能な金融エコシステムに向けた第一歩となります。