持続可能な未来を育む「フジ虎ノ門こどもセンター」
日本全国が直面している人口減少や少子高齢化という課題は、特に地方での働き手不足や空き家の問題を浮き彫りにしています。こうした状況を受け、積水ハウスは長年にわたって培った「生涯住宅思想」やユニバーサルデザインの知見を生かし、医療・介護・福祉の分野において新たな取り組みを進めています。その一環として、2019年に設立された「フジ虎ノ門こどもセンター」では、多様なライフステージの子どもたちが共に過ごし学ぶ環境を整えています。
フジ虎ノ門こどもセンターの誕生
このセンターは、静岡県御殿場市に位置し、発達障がい児や不登校の子どもたちに向けたサポートを目的としています。新たな価値を提供するこの施設は、医療・福祉・教育を統合し、子どもたちが安心して生活できる環境を整えています。医療の不足を解消するため、診療や療育支援をワンストップで提供するという日本初の試みです。
地元医療機関の想い
この取り組みの背景には、フジ虎ノ門グループの会長である土田博和氏の強い思いがあります。彼は、子どもたちが育つ環境を整えることがいかに重要かを理解し、医療・福祉の向上を目指して40年以上にわたり活動してきました。
「かつてアメリカの病院を訪れた際の驚きが、私の原点です。環境が整っていることで医療従事者が患者に集中できる、そのような環境を日本でも実現したい。」と土田氏は振り返っています。その思いを具現化するために、フジ虎ノ門こどもセンターは地域の人々と手を取り合い、常に前進してきました。
インクルーシブデザインの導入
施設内では、障がいのある子どもたちの特性に配慮した空間が広がっています。子どもたちが共に遊び、学ぶためのバリアフリー設計が施されており、感受性豊かな彼らが思い切り溌剌とした時間を過ごせる工夫がなされています。
「遊びを自ら生み出すことが育成には重要です」と土田氏は語ります。施設内の環境設定は、固定遊具が少なく、子どもたちが自分のアイデアに基づいて遊び方を変えられる自由な場となっています。また、動物とのふれあいを通じて命の大切さを学ぶ機会も設けられています。
確認された成果
こうした努力が評価された結果、フジ虎ノ門こどもセンターは2023年度のキッズデザイン賞「こども政策担当大臣賞」を受賞しました。多様性の受容や新しい気づきをもたらす取り組みが認められたのです。
地方創生に向けた環境づくり
地域の課題を解決するためには、子どもたちが定住し、幸福に生活できる環境が不可欠です。フジ虎ノ門こどもセンターは、単なる子どもたちの支援施設だけでなく、地域全体に貢献する場でもあります。「周囲の人々の声を反映し、地域全体が共に育つ環境を整えることは、持続可能な社会の基盤。」と積水ハウスの地方創生戦略部長・友金氏も語っています。
このような取り組みを通じて、積水ハウスは未来へ向けて、さらなる価値と共生の場を創出し、「子どもたちが育つためには、すべての人が支え合う環境が必要」であると強調します。持続可能な未来を切り拓くために、フジ虎ノ門こどもセンターの活動は今後も重要な役割を果たすことでしょう。