青森みちのく銀行が新たに導入した「コンプライアンス・ステーション®︎UBO」
青森みちのく銀行(以下、青銀)が法人顧客のリスク評価を効率化する新たな手法として、「コンプライアンス・ステーション®︎UBO」を導入した。これは、コンプライアンス・データラボ株式会社(以下、CDL)が提供するサービスであり、法人データベースを活用してオンラインで実質的支配者情報(UBO)を瞬時に収集できるものだ。この取り組みは、従来の情報収集方法の課題を解決し、銀行業務の信頼性を向上させることを目指している。
導入の背景
青銀は、法人顧客に対するリスク評価の重要性を認識し、UBO情報を含むデータの効率的な収集手法を模索していた。従来は、メールや封書などのアンケート方式で情報を収集していたが、顧客にとっての回答負担が大きく、結果的に回答率が低迷する問題があった。そのため、よりスムーズかつ効率的な情報収集の手法を求める声が高まっていた。
このような中、CDLの「コンプライアンス・ステーション®︎UBO」の導入が検討され、東京商工リサーチ(TSR)が保有する高品質な法人データベースを活用することで、迅速にかつ高いカバー率での情報取得が可能になるとの期待が寄せられた。これにより、青銀は顧客管理業務の効率化を図ることができるという判断に至った。
導入による効果と今後の展望
「コンプライアンス・ステーション®︎UBO」の導入により、青銀は法人顧客の情報収集を大幅に効率化することができる。通常、法人に関する情報の確認や収集には、銀行側・顧客側双方に様々な負担がかかるが、このサービスの提供により負担が軽減されることが期待されている。具体的には、社名や代表者、住所、UBO情報などを網羅的に収集することが可能となり、高度なコンプライアンス管理が実現される。
特に2028年に控えるFATF(金融活動作業部会)の第5次対日相互審査を踏まえると、マネーロンダリングやテロ資金供与対策の実効性を向上させるための準備が急務である。CDLは青銀に対し、継続的な顧客管理の高度化をサポートしていく考えであり、さらなるプロダクト開発にも注力する姿勢を示している。
金融犯罪対策の現状と背景
金融犯罪、特にマネー・ローンダリングはますます巧妙化しており、これに対応するため国際的な取り組みが強化されている。2025年、金融庁が発表した金融犯罪対策に関する報告書では、国内におけるマネロン対策の実効性向上が求められ、特にリスク環境への適切な対応が重要視されるようになった。
また、金融庁は2024年8月に法人口座の不正利用防止に向けた新たな要請を発表しており、これには口座開設時における本人確認手続きを強化することや、高リスク取引に対する厳格な監視が含まれている。これらの背景から、特に地域銀行では限られたリソースの中で高度なコンプライアンス管理に取り組む必要があり、効率的なデータ収集手法が求められている。
まとめ
新たに導入された「コンプライアンス・ステーション®︎UBO」は青森みちのく銀行にとって、法人官顧客の管理とリスク評価において大きな価値をもたらす手段となるだろう。CDLの技術力を活用し、銀行業界全体でのコンプライアンス向上に寄与することが期待される中、今後の動向にも注目が集まる。
このように、青銀の新たなアプローチは、金融の未来に向けた先進的な試みであり、他の金融機関にとっても有用な事例となることが予想される。