NEDOが進めるロボットソフトウェア開発基盤の構築に寄せる期待
日本の科学技術振興機構(NEDO)は、ロボット技術の活用が進む中で、ソフトウェア開発基盤の構築に関する研究開発事業に新たに着手し、注目を集めています。この取り組みは、ポスト5G時代を迎えた今、製造業はもちろん、建設や警備など、幅広い産業での生産性向上を目指しています。計103億円の予算が確保され、2025年度から2027年度にかけて具体的な研究開発が進む予定です。
ロボット活用の現状と課題
少子高齢化が進む日本では、多くの産業が人手不足に直面しています。製造業をはじめとする現場では、ロボット技術の活用が求められていますが、実際の導入には多くの課題が残されています。特に、多品種少量生産を行う現場では、扱うモノの種類が多様であることや、周囲の環境の変化が大きいことが障害となります。加えて、運用開始後に条件が変化することも多く、結果的に導入を見送られるケースも少なくありません。
これまでのロボットシステムは、しっかりとした信頼性を持っていますが、各ハードウェアに対して異なるプログラミング言語が用いられていることから、新たな開発者が参入するのが難しい現状がありました。このままでは、ロボット導入の拡大は見込めず、新市場の創出も難しいと言わざるを得ません。
ソフトウェア開発基盤の構築
NEDOの新事業は、ロボット活用の障壁を取り除くことを目的としています。具体的には、ロボットシステムを構成する各機能をモジュール化し、ソフトウェアの品質や性能を可視化することで、オープンな開発環境を整える計画です。この取り組みにより、多岐にわたる開発者がロボットシステムの開発・導入に参入しやすくなり、活用の裾野が広がることが期待されています。
NEDOにより採択された3件の研究開発テーマはいずれも、製造業や建設市場、警備分野においてロボットのシステムインテグレーション(SI)の効率化を目指しており、特に品質や信頼性、安全性の向上に寄与するものです。また、これらのテーマはそれぞれが相互に連携することで、広く活用される開発環境の構築を進めていきます。
デジタル・ロボット事業の連携
NEDOの取り組みはこれだけに留まらず、「デジタル・ロボットシステム技術基盤構築事業」も同時に進められています。この事業では、汎用的なSIモジュールの開発や、建設ロボットシステムの研究開発が行われ、さまざまなロボットシステム構築に向けたモデル事例が生まれることが見込まれています。特に注目したいのは、この分野が持つ柔軟性です。
これらの事業を通じて、NEDOは日本の産業全体の効率化を図り、社会課題の解決にも寄与していく方針です。ロボット技術の未来に関する期待が高まる中、NEDOの新たな挑戦がどのような成果をもたらすのか、引き続き注目したいところです。