フジタ式低放射化遮蔽コンクリート「FLASC」のJISマーク取得
2023年、株式会社フジタと株式会社トクヤマ、及び中国生コンクリートは共同で開発したフジタ式低放射化遮蔽コンクリート(FLASC)が、日本の建築基準を満たすJISマークの表示許諾を受けました。これにより、低放射化性能を持つコンクリートが広く利用できる道が開かれ、放射線を取り扱う建物における安全性が大いに向上します。
FLASCの背景と開発経緯
放射線を扱う施設では、コンクリートや鉄鋼等に対して「放射化」という現象が発生します。これは放射線を浴びた物質が放射線を発生させ、時として特別な廃棄処理を必要とすることがあるため、大変な問題となります。フジタではこの問題解決のため、長年にわたり低放射化遮蔽技術の研究を行い、JIS A 5308規格に合致した素材の開発を進めてきました。
FLASCは、フジタが開発した低放射化混和材(FLAA)を使用したレディーミクストコンクリートとして、放射線遮蔽性能を高めた新たな建材です。この成果は、JISマークの表示許諾を得たことで、公的にその性能が認められたことを意味します。
JISマーク表示の意義
建築基準法により、建物には該当するJISに適合する材料を使用することが求められます。FLASCはこれらの基準を満たすため、特に放射線を使用する施設において大変重要な役割を果たすことが期待されています。特に、FLASCは放射線による被ばくを最小限に抑える能力を持ち、これにより放射線利用者の安全性を高めることが可能です。
FLASCの特長と性能
FLASCは、以下のような優れた特長を持っています。
1.
フレッシュ性状:FLASCは一般的なコンクリートと同様に、スランプや空気量を適切に管理できます。
2.
圧縮強度:FLASCは普通のコンクリートと同等の圧縮強度を持ち、耐久性も確保されています。
3.
耐久性:FLAAを用いているため、コンクリート及び鋼材に影響を与えることなく、FLASCの耐久性も一般のコンクリート並みです。
今後の展望
FLASCがJISマークを表示することで、中国生コンクリートは広島市内の建設現場に製品を出荷する可能性があります。フジタとトクヤマは、メリットを提供しつつ、FLASCの適用をさらなる場所へ広げる方針です。特に、全国各地にある放射線利用施設への展開を目指し、高い遮蔽性能を持つFLASCの重要性は一段と増すでしょう。
いよいよ、新しい低放射化遮蔽コンクリートの時代が到来し、放射線を使用する施設において、安全性と持続可能性を同時に向上させる革新的な選択肢が提供されることに期待が寄せられます。私たちの生活を守るために、新技術で新たな安全を築いていくことが求められています。