博報堂メディア環境研究所の「メディア定点調査2025」分析
株式会社博報堂のメディア環境研究所が実施した「メディア定点調査」は、生活者がどのようにメディアと接触しているかを探る重要なデータです。2006年から毎年行われているこの調査は、2025年の結果も明らかにしました。以下にその主なデータを詳しく見ていきましょう。
メディア総接触時間の動向
調査によると、2025年のメディア接触時間は1日あたり440.0分で、前年から約8分の増加を記録しました。この中で特に注目すべきは、スマートフォンの利用時間が165.1分に達し、過去最高を更新したことです。これはコロナ禍を経てもなお、スマートフォンが生活の中で重要なメディアとなっていることを示しています。
一方、他のメディアの状況も見てみると、テレビの接触時間は122.1分で前年よりわずかな減少が見られますが、減少傾向は下げ止まった様子です。雑誌はわずかに9.2分と、依然として低迷しているものの、その減少幅は小さくなっています。逆に、ラジオ(24.0分)や新聞(10.7分)の利用時間は増加傾向にあるため、メディア環境には興味深い変化が起こっています。
配信サービスの利用動向
配信サービスに関しては、コロナ禍で急成長した市場も現在は横ばいになっています。「定額制動画配信サービス」の利用率は64.3%で、前年度比0.2ポイントの減少を見せていますが、「TVer」は59.7%と、前年から5.9ポイント増加し、利用者数が大幅に伸びています。特に、2020年からはその利用率が約3倍も増加しており、伸びを見せ続けています。
テレビでの配信コンテンツ視聴
テレビに関しても変化が見られ、「見逃し配信」や「無料動画」「有料動画」の利用率が増加しています。特に「見逃し配信」は50.0%を超え、コネクテッドテレビの普及を受けて、テレビの視聴スタイルが大きく変化していることが示唆されています。録画利用は69.6%で昨年から減少していますが、新しい視聴スタイルが受け入れられている証拠です。
調査の実施概要
この調査は東京都内を対象に行われ、無作為抽出されたサンプルを用いて郵送調査法で実施されました。年齢層は15歳から69歳まで幅広く、多様な意見を反映するため性年代でウェイトバックされています。調査は2025年の1月24日から2月7日にかけて行われました。結果はメディア環境研究所のホームページで公開されており、グラフ生成やデータのダウンロードもできます。
まとめ
2025年のメディア接触状況は、スマートフォンの影響を強く受けていることが見えています。また、配信サービスの利用も多様化し、特にTVerの成長が目立っています。これらの動向は、今後のメディア環境の重要な指標となるでしょう。これからのメディアのあり方にますます注目が集まります。