CXの国際比較
2017-07-28 12:00:20

日本と中国のCX比較: 配車からECまでのNPS分析

日本と中国のCX比較: 配車からECまでのNPS分析



最近、顧客体験(CX)を測定するための指標として注目されているNPS(Net Promoter Score)を通じて、中国と日本の顧客体験の違いを明らかにする調査が行なわれました。この調査では、日本の旧体質とされる金融業界の「生命保険」、比較的新しいWebサービスである「EC」、および旧体質ながらも先進的な取り組みが見られる「交通」業界が対象となりました。

中国のNPSが日本を圧倒する現状


調査結果によると、交通およびECにおいて中国が日本を上回るスコアを記録しており、保険業界においても中国の平均値と最低値は日本よりも高いという結果が出ています。このことから、日本の顧客が高い品質のサービスを求める傾向がありつつも、中国の企業はより多くの顧客満足を達成しているのではないかと考えられます。

配車サービスの普及率が物語る


中国では「滴滴出行(Didi)」という配車アプリが日本国内のものと比較して圧倒的な普及率を誇っています。一日に利用される回数は日本の配車アプリの7,500倍以上、人口に占める利用率は1,000倍以上とも推定されています。この状況は、特に上海などの都市で実感できるもので、Didiを利用することが一般的な光景となっています。

EC分野の圧倒的な成長


また、ECサイトの分野でも中国の「Taobao」は、507百万人という月間アクティブユーザー数を記録しており、全人口の約35%を占めています。この流通総額はアメリカのAmazonの約15倍に上るとも言われています。

ダイナミックな顧客体験の違い


例えば、配車アプリの比較において、Didiは利用者が飲食店の地図から直接配車を行うことが可能です。日本では利用者がタクシーを電話で呼ぶ方法が一般的ですが、Didiはシームレスな体験を提供し、利用者のニーズに応えています。

日本の配車アプリの場合、乗車地点と降車地点を指定するだけでタクシーが配車される点では共通していますが、Didiは顧客の行動を捉えたアプローチで、より便利に顧客体験を提供しています。

Taobaoのユニークなサポート


次に、ECの例としてTaobaoを取り上げます。こちらでは、購入後のサポートが非常に充実しており、顧客がサイズ変更を希望した際にはチャットでサポートを受けることができます。この24時間対応のチャットサービスは、普段利用するチャットアプリを通じてもちろん、簡単な操作で済むため、顧客にとってストレスフリーな体験となります。

日本のAmazonでは、サイズ変更や返品手続きが面倒なことが多いのですが、Taobaoは顧客の手間を減らす工夫が多く見られます。

医療保険業界の先進性


保険業界では、中国の平安保険が注目されています。中国では医師の数が少ないため、医療サービスの利用が難しい状況ですが、平安保険はアプリを通じて様々な健康相談を行えるサービスを提供しています。顧客はスマホ一つで健康管理が可能となり、待ち時間を大幅に削減しています。

成功の裏にある組織と文化


中国企業の成功は、良質な顧客体験を提供するための組織的基盤があるから可能だと考えています。例えば、Alibabaや平安保険は社内にCX部門を設け、顧客のニーズを常に追跡し、サービス改善に努めています。これは企業文化として定着しており、組織全体が顧客中心に動いている様子が伺えます。

日本企業への警鐘


中国の企業が顧客志向の経営を実現し、高いNPSを獲得している現状は、我々日本企業にとって大きな課題です。果たして、優れたCXを生み出せる企業が日本に進出した場合、日本の顧客は自社を選び続けるのか。今こそ、日本企業はCXを見直し、改善を図るべき重要な時期に来ていると言えます。

会社情報

会社名
株式会社ビービット
住所
東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル10階
電話番号

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