企業のサーキュラーエコノミー意識調査の結果
2024年11月、株式会社三井住友銀行、三井住友ファイナンス&リース株式会社、株式会社日本総合研究所の3社は共同で、企業におけるサーキュラーエコノミー(CE)の意識について調査を実施しました。調査の結果、企業のCEに対する意識や取り組みの状況が浮き彫りになったため、その詳細と今後の展望について述べていきます。
調査の背景と目的
本調査が実施された背景には、気候変動に加えて資源枯渇やプラスチック汚染等の環境問題があります。このような状況下では、企業が自社の製品のライフサイクルを考慮して事業活動を行うことが求められています。特に欧州においてはCEが重要な経済政策として位置付けられており、日本でも政策が進められています。
日本では、2024年5月に「資源循環高度化法」が公布され、その後の8月には「第5次循環型社会形成推進基本計画」が閣議決定されるなど、企業はCEの実現に向けた第一歩を踏み出す必要があります。製造業が特に注目される中で、「モノを売る」ビジネスモデルから「モノの価値を提供する」ビジネスモデルに転換することが求められています。このタイミングでの本調査は、製造業界におけるCE推進の実態を把握することを目的としました。
調査結果の要点
調査結果を見ると、CE推進に対して企業の意識が二極化していることがわかりました。回答企業の42%は「強い危機感がある」と述べていますが、55%は「強い危機感はない」と答えています。このことは、企業の全体的な意識がまだ十分に浸透していないことを示しています。しかし、47%の企業が「情報収集など初期的な対応を計画している」とし、約半数の企業がCE推進に向けた本格的な検討を始めています。
企業が抱える課題と対策
企業がCE推進のために直面している課題については、「情報収集の不十分さ」や「社内ビジョンの共有」が浮き彫りになっています。特に30%の企業が初期的な対応が進まないと回答しており、業界内での情報共有や社内の共通認識を深める必要があります。また、カーボンニュートラルを達成する上でもCEの推進が重要視されています。
具体的な対策としては、追加的に以下の施策が検討されています:
- - 取り組みやすいソリューションの提供:大手メーカー向けに「サービスとしての製品(PaaS)」を提案し、リサイクルを含むCE全体の構想を共に検討。
- - 企業間連携の促進:関連業界の動脈・静脈産業を紹介し、マッチングを通じたビジネス機会の創出を目指す。
- - 継続的な情報発信:市場動向を定期的に共有し、セミナーを通じて知見を提供。
今後の予定
企業はCEの具体的な取り組みを進める上で、特に製造業界において自社が進むべき方向性を模索することが求められています。この調査を基にした企業の具体的な支援施策の導入が期待されており、今後の成長が注目されます。サーキュラーエコノミーという新しいビジネスモデルの追求は、企業の競争力強化と、持続可能な社会の実現につながるでしょう。
このような調査結果を基に、企業はより具体的な推進策を進めることが望まれます。そして、CEの意識を高めることで、全体の経済を持続可能な方向に転換させるための第一歩を踏み出すことが期待されます。
終わりに
サーキュラーエコノミーの理解を深め、具体的な取り組みを進めることは、企業にとって避けては通れない道となります。調査結果を踏まえ、今後の動向に注目していきましょう。