若者が創る、新しい日本酒プロジェクト
日本酒の消費量が低下し、特に若者の酒離れが顕著になっています。この厳しい現状を打破するため、京都府綾部市の若宮酒造が新たな取り組みを始めました。それが「若者が考える、若者のための新しい日本酒造り」です。このプロジェクトは、地元の高校および大学と密接に連携し、若い世代の感性を反映した日本酒の開発を目指しています。
プロジェクトの内容
綾部高校の3年生たちが初めて栽培し収穫した酒米「五百万石」を活用しています。さらに、福知山公立大学地域経営学科の学生が商品企画や酒造りを担当し、京都工芸繊維大学デザイン専攻の学生がラベルデザインに取り組んでいます。この取り組みには、一般社団法人京都知恵産業創造の森からも支援を受けています。
商品コンセプトの形成
日本酒が若者にとって遠い存在であることを実感した学生たちは、実際の酒蔵で日本酒を試してみて、そのイメージが一変したと言います。「合コンでカップルになれる酒」や「パーティーでの日本酒」といった意見も飛び交う中、最終的に選ばれたのは「若者のためのスタイリッシュな日本酒」です。
特徴として、フルーティーな香りではなく、さわやかで飲みやすさを重視したキレのあるストレートな味わいを目指しています。飲み方も多様で、冷酒はもちろんのこと、ロックやカクテルとして楽しむことができ、日常的に楽しめる日本酒としての新たなスタイルを提案します。若者の感覚で作られるこの日本酒は、従来の日本酒のイメージを覆すことでしょう。
プロジェクトの背景
日本酒市場は輸出は好調であるものの、国内においては消費が減少している状況です。国税庁のデータによれば、日本酒の消費量はピーク時に比べて1/3以下にまで減少しています。また、厚生労働省の調査によると、若者の飲酒習慣率は20年以上前に比べ著しく低下しています。特に20歳から30歳の若者においては、飲酒習慣を持つ人が激減しています。コロナ禍における影響もあり、酒蔵の存続が危ぶまれる中で、若宮酒造はこのプロジェクトを通じて新しい市場を開拓する道を歩むことを決意しました。
プロジェクトの進行
2021年11月3日、若宮酒造のプロジェクトは本格的にスタートしました。綾部高校の学生たちが精米された酒米を洗米する作業を行い、日本酒造りの準備が整いました。今後、醸造が進む中で商品名やラベルデザインも決まり、2022年3月に発売が予定されています。この取り組みが成功すれば、若者たちが日本酒に親しむきっかけとなり、さらなる日本酒の流行を促進することが期待されます。
会社概要
若宮酒造株式会社は、大正9年に設立され、京都府綾部市で日本酒の製造販売を行っています。代表者は木内康雄氏で、会社の公式ウェブサイトは
こちらです。興味のある方はぜひ一度、サイトを覗いてみてください。
日本酒の未来を担う若者たちの情熱が込められたこのプロジェクト。これからの展開に期待が寄せられています。