認知症患者からのハラスメントに苦しむ看護師たちの実態
はじめに
医療現場でのコミュニケーション環境の改善を目指す株式会社ケアコムが、看護師や准看護師255名を対象に実施した調査によると、実に93%の看護師が認知症患者からのハラスメントを経験しています。患者の病気を理由に多くのケースが正当化され、この問題はますます深刻さを増しています。
調査結果の概要
1. ハラスメントの実態
回答者の54.6%が認知症患者からのハラスメントを「ほぼ毎日」または「週に数回」平均で受けていると答えました。具体的な内容としては、暴力が88.2%、暴言が83.2%、セクシャルハラスメントも56.7%にのぼります。これらは偶発的な混乱ではなく、一部の職員に対して繰り返し行われる傾向があるのが現実です。
2. 精神的・身体的ダメージ
調査参加者全員が「精神的ストレス」を感じていると回答し、また52.5%が身体的負傷などの実害もあったと述べています。こうしたストレスは多くの看護師の職務意識を低下させ、62.2%もの人数が職務意欲を喪失してしまったと語っています。看護師の中には、痛みや痕が残るような状況でも、記録を残すことしかできない無力感を感じる人が多数です。
3. 組織の対応
報告をしたのに、「あなたの対応が悪い」と言われる二次被害も存在します。そのため、28.6%の看護師が「何も行動しなかった」と回答しており、その理由は「認知症だから仕方ない」という諦めが大半を占めています。組織の中で職員を守る体制が整っていないことが浮き彫りになりました。
現場の声
自由記述の中からは、看護師の苦悩や葛藤が伺えます。
- - 「認知症だから仕方ない」という考え方の問題:ある看護師は、「外なら警察沙汰になる行為が病院内では許されてしまう」と嘆いています。これに対して、「看護師にも心があるのだから、その感情を無視しないでほしい」との声もあります。
- - 組織への不信感:また、上司に相談した際に、「あなたの声かけが悪い」と責められるという事情も多く、これが心的ストレスをさらに増大させています。看護師たちは、自分の行動が原因とされたことで孤立感を深めているのです。
- - 看護倫理と安全のジレンマ:抑制(拘束)を行うべきか迷う声も多く、患者の安全を守る使命感と自らの安全の確保の間で彼らは板挟みされています。「命に関わる処置をする際に反発され、度々暴力に晒される」との声に対する支援の仕組みが必要です。
- - 社会への訴え:看護師たちは、家族や社会からも薄い理解しか得られず、不満が募ります。面会もせず、医療従事者への敬意が感じられない患者の家族に、強い不満を抱いています。
結論
この調査を通じて認知症患者を支える看護師たちが直面する先進的な課題が浮き彫りになりました。「病気だから仕方ない」という言葉が、看護師の心身にどれだけ深刻な影響を与えているのか、組織としてのサポートが求められています。看護師が安心して働ける環境を作り出すことが、質の高い医療を確保するための基本です。ケアコムはそのためのインフラ提供と、看護師が専門性を発揮できる環境作りを進めていきます。