手術で改善可能な認知症「iNPH」を理解し、早期受診を促進する研修

認知症「iNPH」への理解が乏しい現状

Integra Japan株式会社が発表した調査によると、一般の方の90.1%が「特発性正常圧水頭症」（iNPH）を知らないことが分かりました。iNPHは、手術により改善が期待される認知症の一種ですが、その認知度は依然低迷しています。この結果に基づき、iNPHの認知度向上と早期の受診を促す必要性について考察します。

iNPHとは？

iNPHは、頭蓋内に異常に髄液がたまり、脳が圧迫されることにより発生する疾患です。その結果として、歩行障害・認知症・尿失禁などの様々な症状が引き起こされます。日本においては、高齢者人口の1.1%がiNPHの疑いを持っているとされ、その数は38万人以上になると推計されています。特徴的なのは、手術によって症状が改善する可能性が高いことです。

認知度調査の結果

調査データによると、一般の方へ「iNPHを知っているか？」という質問に対し、9.9%のみが以前から認識していたと回答し、90.1%が「知らない」と答えています。このことは、一般的な認知症への理解が乏しいことに起因している可能性があります。

## 初期症状への対応

更に調査では、周囲に認知症の症状が現れた際、どの診療科を受診するかについての意識調査が行われました。その結果、脳神経外科や神経内科を選ぶ人は17.9%、19.4%にとどまり、約37.3%の人が受診を選択しないことが明らかになりました。

これは、iNPHの診療においては、専門医による適切な診断と治療が必要であるにも関わらず、受診が行われないリスクを示しています。

## 医師の見解

桑名信匡医師は「高齢者の歩きづらさや尿失禁を伴う認知症がある場合、iNPHの可能性を疑うべき」と語ります。彼によれば、適切な診断を行うことで、改善可能な疾患であるiNPHを見逃すことなく、早期に治療を開始することが重要です。