顔色から読み取る深部体温の変化を科学で解明する新研究
ポーラ・オルビスグループの研究開発を担うポーラ化成工業株式会社が、中京大学スポーツ科学部と共同で行った新たな研究が注目を集めています。研究陣は、運動時の顔色の変化から人の深部体温を推定する可能性を探り、成果を第12回日本スポーツ理学療法学会学術大会で発表しました。一見、異なるように思える「顔色」と「体温」ですが、これまでの研究では明らかにされていなかった新しい関連性が見えてきました。
深部体温の重要性とその測定の課題
深部体温は、人体の中心部の温度であり、健康維持や運動パフォーマンスに非常に重要です。特に、猛暑による健康被害が懸念される昨今、正確な深部体温の把握が何よりも必要です。しかし、現在のところ、深部体温の測定は専用の機器を用いる必要があり、簡易に行うことが難しいのが実情です。ポーラ化成工業ではこの問題を解決するために、簡便に深部体温を測定できる方法を模索しており、その一環として顔色からの推定方法に着目したのです。
研究方法と結果
研究チームは、まず男子大学生15名に自転車運動を行わせ、その間に一眼レフカメラで顔を撮影しました。運動により深部体温が上昇する過程で、顔色の変化を追跡調査しました。その結果、顔の複数の部位で深部体温の上昇と色変化の関連性が確認されました。特に、前額部の色が大きく変化することが分かりました。この発見は、顔色をモニタリングすることで運動時の深部体温の変化を把握する新たな手がかりとなるでしょう。
社会への貢献を目指して
この研究成果は、特に暑熱環境下での労働や運動時に体の変化を早期に察知する手段として応用可能です。ポーラ化成工業は、今後もこの基礎研究を進め、より多くの人々の健康を支援し、well-beingの向上に貢献することを目指しています。
今後の展望
ポーラ化成工業は、今回の調査結果を基に、さらなる技術開発を進める方針であり、顔色からの深部体温の測定を実現することを目指しています。この研究は、深部体温の把握が必要不可欠な現代社会において、大きな前進となることでしょう。
学術大会の発表詳細
大会名: 第12回日本スポーツ理学療法学会学術大会
会期: 2025年11月29日〜30日
演題名: 「男性大学生を対象としたエルゴメーター運動時の深部体温と顔色情報の関連」
発表者: ポーラ化成工業、松本孝朗教授、中京大学陣など