もりおか歴史文化館企画展「金山を開発せよ」
盛岡市の名所であるもりおか歴史文化館で、江戸時代の金山開発に焦点を当てた興味深い企画展「金山を開発せよ -『大槌金沢金山之図』制作に迫る-」が開催しています。この展覧会は2025年8月9日から10月26日までの期間にわたり、歴史の深淵に迫る学びの機会として、多くの来館者を迎えています。
展示内容とその意義
江戸時代に栄えた金沢金山を描いた全長12メートルの絵巻が当館には残されており、その内容は金の採掘や製錬作業の詳細にわたります。実際に絵巻に描かれた作業を通じて、当時の鉱山技術や人々の活気ある姿が表現されており、歴史的な視点から非常に価値のある資料となっています。また、この絵巻は過去に7点確認されており、制作背景や目的についての考察がなされていますが、なぜ同様の作品が複数存在したのかについては多くの謎が残されています。
第1章:盛岡藩と金山
初めに、盛岡藩における金山の概要を示す資料や年中行事、鉱山内の掟を紹介し、当時の社会背景を理解する手助けをしています。このコーナーでは、金鉱石や万延小判金などの貴重な実物資料も展示されています。
第2章:盛岡藩の金山開発プロジェクト
江戸時代初期に華やかな盛況を誇った金山でしたが、やがて枯渇し、再開発が求められる事態となりました。特に、江戸幕府の調査を受け、盛岡藩は金山開発に向けたプロジェクトを立ち上げます。多くの苦難を経て、江戸幕府からの資金援助を受けつつ、5つの主要な金山の開発が進められました。ここでは、実際に開発に関わった人々の記録を通じてその取り組みを振り返ります。
第3章:「大槌金沢金山之図」を読む
展覧会のメインとも言える「大槌金沢金山之図」は、金の採掘から製錬に至る過程が色彩豊かに描かれています。この絵巻の違いや共通点を通じて、当時の人々の生活や労働がいかに大切だったかを知ることができます。また、3点の絵巻が展示され、比較しながらその魅力を探ることができます。
第4章:制作の意義
最後に、制作に関わった盛岡藩士の日記から、金山開発の目的を深堀りし、プロジェクトの影響について再考することができます。本展を通じて金山開発が盛岡藩に与えた意味を掘り下げ、金の歴史の深みを体感できる内容となっています。
関連イベント
この展覧会では、様々な関連イベントも用意されています。学芸員によるギャラリートークや金山に関する講座、日曜日には特別なイベントとして缶バッジのプレゼントが行われるなど、来館者がより楽しめる工夫も施されています。
「金山を開発せよ」は単なる展示にとどまらず、江戸時代の人々の勇気と知恵が息づく場となっています。ぜひ多くの方々にご来館いただき、その貴重な歴史を肌で感じていただきたいと思います。今後のさらなる詳細情報については、もりおか歴史文化館の公式ホームページをご覧ください。