APECデジタルAI大臣会合がもたらした政策の展望と課題
APECデジタルAI大臣会合(TELMIN11)の概要
2023年8月4日、韓国の仁川にてAPECデジタルAI大臣会合(TELMIN11)が開催され、総務省から今川総務審議官が出席しました。この会合にはオーストラリア、中国、アメリカなど21のAPEC参加国・地域が集まり、情報通信に関する政策課題について議論を行いました。
1. 開催の背景
APECでの情報通信に関する閣僚会合は、2015年のマレーシア開催から8年ぶりとなり、デジタル時代における国際協力の重要性が増している中で、政策のフレームワークが必要とされていました。
2. 議論された3つのテーマ
会合の議題は、韓国が議長国として提案した以下の3つのテーマに基づいて進められました。
1. 課題解決のためのデジタル・AIイノベーションの促進
AI技術による課題解決のためのルール作りが不可欠とされ、今川総務審議官は「安全で、責任ある、信頼できるAI」の実現を目指すアプローチを強調しました。特に「広島AIプロセス」に基づいた透明性のある開発が重要視され、AI企業がその遵守状況を報告する枠組みの必要性が議論されました。
2. 普遍的かつ有意義なデジタルコネクティビティの向上
各国がデジタル接続の質を向上させるための競争政策と、不採算地域への財政支援のバランスを取ることが重要であるとされました。新技術の導入やインフラの強化も、持続可能な社会に向けた課題として挙げられました。
3. 安全で信頼できるデジタル・AIエコシステムの構築
デジタル化が進む中で、安全性と信頼性のある環境づくりが求められ、サイバーセキュリティやデータプライバシーの確保も主要な議題となりました。
3. 発表された閣僚声明
会合の成果として、各国の閣僚間で合意された「閣僚声明」が採択され、今後の方針が明らかにされました。これにより、デジタル・AI政策の国際的な調和が期待されます。
4. バイ会談の実施
この機会に、今川総務審議官は米国、韓国、インドネシアの閣僚や企業との意見交換を行い、各国との政策上の課題を共有し、深い対話を進めました。
5. 今後の展望
本会合を通じて、デジタル革命の進行に伴う新たな課題に対して、国際的な連携が強化されることが期待されます。特に、企業と政府が協力してAI技術の発展を推進し、社会的な信頼度を高めるための具体的なアクションが求められています。これからのデジタル社会の形成に向け、希望と課題が両立する結果が生まれることを願います。