日本の農業を変革する「みどりGXビジョン」が提言する持続可能な未来
日本の農業において持続可能な食と農業の実現を目指すコンソーシアム「みどりGXラボ」が、2025年4月21日、農水省の渡邊毅事務次官に対して「みどりGXビジョン」と題した政策提言を行いました。この提言は、農業関係者や地域とのつながりを大切にし、具体的な改善策や課題解決を目指すもので、特に注目される内容が含まれています。
農水省における政策提言の背景
「みどりGXラボ」は、2024年7月に設立されたコンソーシアムで、農業の持続可能性を追求しています。多様なメンバーが参加し、農業関係者、自治体、企業、研究者、消費者が一体となって、持続可能な農業を模索しています。提言は、昨年度開催したセミナーを基にまとめられ、農業の現場からの具体的な声を反映しています。
提言の中身と7分野の重要性
提案された内容は「温室効果ガスの排出削減」「有機農業、減農薬・化学肥料の推進」「地域資源の活用と循環」「環境再生型農業の推進」「生物多様性の保全」「エシカル消費の推進」「気候変動への適応策」という7つの分野にわたります。これにより、農業の環境負荷を減少させ、脱炭素化を進めることを目指しています。
特に、有機農業については学校給食という新たな販路の提案や、その利用が食育にも寄与する点が強調されました。また、国際有機農業運動連盟(IFOAM)の有機世界大会を日本で開催することが提案された点も注目されています。
温室効果ガス削減のための具体策
温室効果ガスの排出に関しては、国が認証した排出量を取引できる制度である「J-クレジット」のさらなる活用と、その手続きの簡素化が求められています。地域の農業者が協力して申請を行う際にはJAなどの支援が必要であり、より効率的な体制が構築されることが期待されています。
2025年度の活動計画
「みどりGXラボ」は、2025年度には有機農業と高温対策に重点を置いたオンラインセミナーを定期的に開催する予定です。気候が変化する中で農業に直面する課題に対し、備えとしてのセミナーを通じて最新の情報や技術が共有されています。例えば、今年5月には「今から備える水稲の高温対策」をテーマにした講座が開かれ、農家の皆さんが直面している高温による影響について専門家からの助言を得る予定です。
さらに、6月には仮題「JAの役割とは」というテーマ下で、JAが有機農業に果たす重要な役割について知識を深めるセミナーが行われます。こちらのセミナーは茨城県のJAの取り組みに焦点を当てる予定で、価値ある情報の交換が期待されています。
まとめ
私たちが期待する「持続可能な食と農」とは、環境に優しいだけでなく、地域経済や農業の未来にもしっかりと基盤を築くことです。「みどりGXラボ」の施策はその方向性を示しており、農業関係者だけでなく、教育者や消費者も含めた広範な支援を必要としています。これからの農業が持続的に発展していくために、一人一人が意識を持って関与することが求められているのです。