医療的ケア児と家族のための新しい旅行体験「思い出の架け橋プロジェクト」

医療的ケア児と家族の旅行を支援する「思い出の架け橋プロジェクト」

一般社団法人Try Angleと株式会社フジ観光開発が手を組み、2025年8月1日から始まる「思い出の架け橋プロジェクト」が発表されました。このプロジェクトは、医療的ケアが必要な子どもたちとそのご家族が旅行を楽しむための支援を目的としています。

意義ある取り組みの背景

医療的ケア児、つまり在宅で医療的支援を必要とする子どもたちは、全国に約2万人とされています。彼らは、医療機器を必要とし、特別な配慮がなければ長時間の移動や旅行は非常に困難です。しかし、2020年の調査によれば、96.8%の医療的ケア児家族が旅行を望んでいるとの結果が出ています。これまで、医療的ケア児を抱える家族は滞在使用のハードルを感じ、実際の旅行には多くの課題がありました。

一方で、宿泊施設側も受け入れの経験が少なく、どのように医療的ケア児の家族を迎え入れるべきか戸惑う場合が多いと言われています。このような背景を受け、Try Angleは医療的ケア児と宿泊施設の双方に寄り添った支援を行ってきました。

新プロジェクトの仕組み

「思い出の架け橋プロジェクト」では、株式会社フジ観光開発が手掛ける宿泊施設「由屋るる犀々」の宿泊売上の一部を資金に、医療的ケア児の家庭を招待します。特に、外泊未経験の家族を対象とし、彼らにとって特別な旅行体験を提供することを目指しています。

このプロジェクトには主に次の三つの特徴があります。

1. 受け入れ経験の蓄積: 宿泊施設が多くの医療的ケア児家庭を受け入れることで、ニーズを理解し、接客スキルを向上させます。

2. 新たな旅行の機会: これまで入院生活が中心だった医療的ケア児にとって、旅行での新しい体験を提供します。

3. 啓発活動の一環: 宿泊売上の一部を利用して、医療的ケア児の旅行に関する情報を広め、社会全体での理解を深めます。

プロジェクト詳細

プロジェクトは2025年8月1日（水）から開始され、宿泊の売上の一部を本プロジェクトに充てる形で実施されます。初回は石川県に居住する医療的ケア児とそのご家族が対象で、旅行未経験の家族を招待する計画です。具体的な実施日は2025年9月から10月を予定しており、いしかわ医療的ケア児・障害児家族グループ「PareTTe」の協力により進行します。

参加宿泊施設の意義

株式会社フジ観光開発の藤橋和之代表取締役は、「この取り組みが旅行に対するハードルを下げ、多くの思い出を作ってもらえればと思っている」と述べています。医療的ケア児とその家族が置かれている厳しい状況を考えると、彼らの「旅行に行きたい」という希望を実現することは非常に意味あることです。

Try Angleの須田麻佑子代表理事からも、「宿泊施設が医療的ケア児家庭との出会いを通じ、新たな理解を深めることができる」とのコメントがあり、プロジェクトの発展に期待が寄せられています。

宿泊施設との協力を呼びかけ

このプロジェクトは、一つの宿泊施設だけでは成り立ちません。多くの宿泊施設がこの取り組みに参加することで、医療的ケア児の旅行のハードルがさらに低くなることが期待されます。現在、Try Angleでは医療的ケア児の旅行を支援し共に取り組む宿泊施設の募集が進められています。

旅行の楽しみが医療的ケア児の家庭にも届くよう、ぜひとも賛同いただきたく思います。詳細は公式の問い合わせフォームからご確認ください。