慶應義塾大学が2050年の家族の形を探求
日本社会は、急速に変化する家族の形態に適応する必要が求められています。特に近年では、事実婚、同性パートナーシップ、ステップファミリーなど、従来の「標準家族モデル」では捉えきれない多様な家族の形が広がっています。これに伴い、企業や行政においても対応が急務となっている中、慶應義塾大学と一般社団法人デサイロは、2050年における家族やパートナーシップのあり方を深く探求するための新たなプロジェクトを立ち上げました。
プロジェクトの概要
このプロジェクトでは、「ネクストファミリー研究センター(仮称)」と「慶應システミックイノベーション・センター(仮称)」の二つの拠点を設立します。前者は2050年における家族の多様性を研究し、後者は「システミックデザイン」という手法を用いて社会的・経済的なイノベーションを促進することを目的としています。これにより、社会が抱える複雑な課題に対する具体的な解決策を提供し、企業活動が社会的責任を果たせるよう支援します。
システミックデザインとは?
システミックデザインは、複雑な社会システムや環境問題、組織の課題に対して、関係性を重視して根本的な変革を目指す取り組みです。この手法は、「デザイン思考」と「システム思考」を融合させることで、多様なステークホルダーとの協力による共創を可能にします。社会性と経済性を両立させるため、社会的責任を果たす企業のビジネスモデルの構築が期待されます。
多様な家族と社会のニーズに応える
近年の統計によると、2020年の50歳時点での未婚率は男性約28%、女性約18%に達しており、今後もこの傾向は続くと予想されています。また、離婚率の上昇や単身世帯の増加に伴い、既存の家族の概念や様式にとらわれない新しいつながりが求められています。慶應義塾大学の阪井裕一郎准教授をはじめとする専門家たちが集まり、この変化に応じた研究・社会実装プロジェクトを推進します。
具体的な取り組み
プロジェクトは、2回のイベントを通じてその活動を開始します。まず、12月4日には新たな家族像についての講演会が予定されています。ここでは、2050年の家族やパートナーシップについての考察、企業経営への影響、社会の変化などが議論されます。続いて、12月10日には「システミックデザイン」に基づいたワークショップが開催されます。参加者は、自らのビジネスでの実践方法を学ぶことができます。
未来に向けての期待
本プロジェクトの立ち上げは、社会の基盤となる家族のあり方について、より幅広い視点から再考する機会となるでしょう。システミックデザインを活用した新しい解決策の創出により、企業だけでなく社会全体が抱える課題に対する具体的なアプローチが生成されることが期待されます。今後の活動に注目が集まります。