生成AIで医療現場の業務効率を向上する新アプリ「SpeechER」
2025年5月3日、TXP Medical株式会社が、音声入力機能を搭載したカルテアプリ「SpeechER」のトライアル運用を、急性期病院である牧田総合病院にて開始しました。この新しいアプリは、医療従事者の業務負担を軽減し、質の高い診療記録の作成をサポートすると期待されています。
牧田総合病院とは?
牧田総合病院は東京都大田区に位置し、290床を有する地域の中核病院です。年間6000台を超える救急車を受け入れるその規模は、地域医療において欠かせない存在です。同病院は2021年に、TXP Medicalの救急外来システム「NEXT Stage ER」を導入しており、緊急医療の環境が整っています。
「SpeechER」の特徴と機能
「SpeechER」は、医師と看護師が実際の業務フローに即した形で設計した音声入力-OCR(光学文字認識)カルテアプリです。 これにより、ユーザーはスマートフォンに話しかけることで生成AIが診療記録に必要な情報を構造化し、適切な形式で記録を整形します。主な機能として、以下のものがあります:
1.
音声入力機能: 医療現場での自由な発語をもとに、必要な情報を自動的に構造化します。
2.
医療用語変換: 専門用語や異なる医療用語に対応した独自の辞書を搭載。
3.
OCR機能: 紹介状やお薬手帳などの写真から文字を抽出し、デジタル化します。
4.
高水準のセキュリティ: QRコードを使った電子カルテへのオフライン連携を実現し、データの安全性を確保しています。
5.
多言語機能: 外国人患者への対応が容易になり、医療現場でのコミュニケーションを円滑にします。
これらの機能により、診療記録の入力時間を最大70%削減することが可能となります。自身の経験を通じても、医療現場の業務効率化を目指す「SpeechER」の存在は非常に心強いものです。
トライアルの背景と目的
都市部の救急外来では、時間制約の中で多くの患者に対応しながら、記録作業も同時に行う必要があります。このため、医療従事者の記録業務は非常に負担が大きく、記載の遅れや情報の抜け落ちが発生することが課題とされています。
牧田総合病院では、このトライアルを通じて「SpeechER」がどのように現場で活用できるのかを検証します。特に、救急外来において医師や救命士がどのように自然に「SpeechER」を利用することができるか、また「NEXT Stage ER」との連携によって診療データの利活用がどのように進むかが焦点です。
今後の展望
TXP Medicalは、「SpeechER」のさらなる機能強化だけでなく、他の医療機関での検証を進め、より多くの医療現場においてもこの技術を提供していく方針です。最終的には、診療記録を“現場完結”する新しい医療のDX基盤を構築することを目指しています。
代表者のコメント
牧田総合病院の理事長、荒井好範先生は、救急現場での記録業務が大きな負担となっている現状を踏まえ、このアプリが自然な会話から必要な情報を抽出し、診療録を整形できる可能性を強調しました。特に、複数の患者に連続して対応する状況で「話すだけで記録が進む」体験は、医療現場の働き方を大きく変革することが期待されると述べています。
TXP Medicalの代表取締役医師、園生智弘氏も、医療現場の声から生まれた「SpeechER」の意義を語り、「話すだけで診療録が完成する」新たな医療のスタンダードを築くために全力を尽くす意欲を示しています。
「SpeechER」の開発は、医療現場のニーズに応える重要なステップであり、今後の成果と導入拡大に期待が寄せられています。是非、公式ウェブサイトをご覧ください。
SpeechER 製品ページ