防災とキャンピングカーの融合
震災の影響を受けた日本において、災害時の居住空間の確保が重要視されています。そんな中、キャンピングカーの製造販売を行う株式会社ダイレクトカーズは、災害時に役立つ車両の提供を行い、新しい生活様式を提案しています。
東日本大震災がきっかけに
東日本大震災からの経験が、同社の事業転換の大きな契機となりました。2011年、震災を通じて土地の人々との交流を育む中で、被災者に適した移動手段として「キャンピングカー」の需要が高まりました。会社設立当初からの中古車販売の枠を超え、キャンピングカーの製造へと舵を切ったのです。
地域との連携
ダイレクトカーズは、以降の経過を踏まえて、三重県鈴鹿市を含む6つの自治体と災害協定を結び、キャンピングカーを一時的な避難所として提供する活動を行っています。特に、高齢者や障がい者など、避難所生活が困難な方に向けて安全な避難場所を提供することで、地域貢献を目指しています。
「防キャン」普及活動
また、一般社団法人 日本RV協会と連携し、「防災×キャンピングカー (=防キャン)」という考え方を広める活動も行っています。各地での防災イベントへの参加や、キャンピングカーを用いた防災訓練を通じて、一般市民への意識向上に努めています。
能登半島地震での支援活動
さらに、2021年の能登半島地震では、ダイレクトカーズが収納スペースを完備したキャンピングカーを提供。全国から集まった30台のキャンピングカーが石川県で現地支援にあたりました。応援に駆けつけた自治体職員たちが快適に休めるよう、提供したキャンピングカーは、就寝定員5名を備え、冷蔵庫とヒーターも完備。
防災専用キャンピングカー「トリップシェルター」
そして、2024年11月、ダイレクトカーズは自身初の防災専用キャンピングカー「トリップシェルター」を発表しました。このモデルは災害時に移動可能な避難所として活用できるよう、トイレやシャワーを完備、一度に7名が就寝できるスペースを設けています。また、大容量の給水タンクを装備し、非常時にも安心して生活可能です。
車両設計にみる配慮
「トリップシェルター」の特徴として、機能性を重視した内部設計が挙げられます。従来のレジャーユースだけでなく、災害時の生活に特化した環境を整えることで、快適性と利便性を兼ね備えています。特に浄水器を内蔵し、ファインバブル技術を用いてタンク内の清浄を保つという考慮は、使用者にとって大きな安心を提供します。
まとめ
ダイレクトカーズの取り組みは、震災を経て新たなビジョンとして展開されています。キャンピングカーという移動手段を地域防災へと転換し、より良い生活環境を提供するこの活動は、多くの人々の生活に貢献することが期待されます。今後も、地域の安全を支える活動が続くことを願っています。