三菱重工グループのイタリア、ターボデン社(Turboden S.p.A)は、米国ユタ州で進行中の「ケープステーション」プロジェクトの一環として、有機ランキンサイクル(ORC)設備を3基受注したことが発表されました。本プロジェクトは、技術革新を取り入れた地熱システムを用いており、これにより地熱エネルギーの活用を飛躍的に進めることが期待されています。ターボデン社はこの技術において中低温の熱源でも効率的に発電する能力を持たしており、プロジェクトの成功に貢献します。
有機ランキンサイクル技術は、従来の蒸気タービンに似た仕組みですが、大きな違いは高分子有機媒体を使用する点です。これに目を向ければ、低いタービン回転速度が可能となり、部品の摩耗も少なくなります。また、組み立てが容易であるため、輸送も簡単です。
ファーボ・エナジー社によると、同プロジェクトは、電力供給のベースロードに貢献するだけでなく、再生可能エネルギーの需要と供給バランスを取るための蓄熱システムとしての役割も期待されています。ターボデン社が初めてフェーズIで建設したORCユニットは、各40 MWで、合計120 MWの発電能力を有しており、これに続いて受注したフェーズⅡのユニットは、各60 MW、合計180 MWを持つものです。これにより、ターボデン社は300 MWの総発電能力を持つ地熱設備を提供することになります。
フェーズIの運転開始は2026年に予定されており、地熱システムの大規模化が進む中、フェーズⅡは2028年までに展開される予定です。これは、年中無休でクリーンなエネルギーを提供し、両社の長期的なビジョンを強固なものとするための重要なステップです。
CEOのPaolo Bertuzzi氏は、「新たな受注は、当社のORC技術の信頼性を証明するものであり、ファーボ・エナジー社とのパートナーシップを強化するものです」と述べています。ファーボ・エナジー社のCEOであるTim Latimer氏は、「このプロジェクトの進展は、地熱の可能性を探求し続ける我々の理念に寄与します」と語っています。
さらに、ターボデン社は北米での事業拡大を進めるため、Turboden America LLCを設立し、2024年から本格的に運営を開始する予定です。この進展により、米国内でのパートナーシップをさらに強化し、大規模なプロジェクトの成功を支えることが期待されています。ターボデン社は50か国以上において460以上のプラントを運営しており、エナジートランジションの最前線を行っています。
地熱エネルギーは、持続可能なエネルギーの未来を支える重要な要素であり、ターボデン社とファーボ・エナジー社の提携はその実現に向けた大きな一歩を示しています。これまでの成果を基に、持続可能なエネルギーの普及と、技術革新に向けた取り組みが今後も続けられることが期待されます。