『KUG』が防災の最前線で評価を受ける
2025年4月22日、SOMPOリスクマネジメント株式会社と東京大学先端科学技術研究センターの廣井悠教授が共同開発した帰宅困難者支援のためのゲーム『KUG』が、第11回ジャパン・レジリエンス・アワードにおいて最優秀賞を受賞した。この賞は、地域や国がより強くしなやかに立ち直るための取り組みを評価するもので、防災や減災に資する技術や活動を奨励している。
KUGとは
『KUG(帰宅困難者支援施設運営ゲーム)』は、大規模な地震が発生した際に、円滑な災害対応を実現するための訓練ツールである。災害時の帰宅困難者をスムーズに受け入れるためには、事業者が従業員を安全に社内に留めることや、民間一時滞在施設での受け入れが求められる。このゲームは、事業者が具体的にどういう対策を取るべきかを楽しみながら学べるように設計されている。
KUGの特徴
この訓練ゲームは、事業者が必要な対応を考える際の補助としても機能し、実際に行動を起こすことが難しい大規模な準備をせずとも、図上で手軽に検討できるようになっている。KUGには二つのバージョンがあり、
1.
一時滞在施設版 - 外部の帰宅困難者を受け入れるための対応を模擬する。
2.
企業内滞留版 - 自社の従業員を一定期間安全に待機させるためのシミュレーションとなっている。
両版ともに、事業者は具体的かつ実践的な対策を立てることができ、訓練の結果を即座にフィードバックとして活用することも可能だ。
KUGの普及状況
KUGは、2015年に発表されて以来、広く活用されており、東京大学の教授のサイトであれば取扱説明書を含む完全なコンテンツが自由に入手できる。2015年以降、SOMPOリスクが把握した範囲でも50回以上利用され、1600名以上の参加者が出た。アンケート調査では、80%以上の参加者が高い満足度を示している。
内閣府のガイドラインにもKUG利用が推奨されており、今後ますますの活用が期待される。
今後の展開
地震発生時の大量の帰宅困難者は、周囲に混乱をきたし、救助活動を著しく遅延させる恐れがある。したがって、発災後はできるだけ多くの人が安全な場所に留まることが不可欠だ。SOMPOリスクではKUGを通じてこのような危機管理意識を高め、都市全体のレジリエンスを向上させる取り組みを引き続き支援していく。
SOMPOリスクマネジメントについて
SOMPOリスクマネジメント株式会社は、SOMPOホールディングスの関連会社で、経営コンサルティング、リスクエンジニアリング、データ駆動型推進、サイバーセキュリティなど多岐にわたるサービスを提供している。リスクマネジメントやBCP(事業継続計画)、サイバー攻撃への対策に力を入れており、様々な企業や団体に貢献している。彼らの研究成果と提案が、今後の災害対策において重要な役割を果たすことが期待されている。