量子コンピュータ時代に備えた金融業界のPQC導入動向と実証結果
量子コンピュータ時代に備えた金融業界のPQC導入動向と実証結果
株式会社大和証券グループ本社とその傘下の大和証券株式会社、大和総研は、日本電気株式会社(NEC)、F5ネットワークスジャパン、デジサート・ジャパンと協力し、量子コンピュータに備えた耐量子計算機暗号(Post-Quantum Cryptography、以下「PQC」)の概念実証結果を発表しました。この取り組みは、金融機関が顧客の重要な情報を適切に守るために、PQCを導入する必要性から始まりました。
PQCの必要性とは?
近年、量子コンピュータの技術が急速に進化しており、従来の暗号方式が破られる危険性が指摘される中、大和証券はその早期導入を迫られています。PQCは量子コンピュータ時代においても安全が確保されることから、金融業界における重要な選択肢となります。特に、投資・資産運用などセキュリティが生命線となる分野では、PQCの導入が急務とされています。
実証の概要と結果
本実証では、大和証券のオンラインサービスのセキュリティ向上を目指し、PQCの技術面を徹底的に検証しました。結果、PQCの鍵交換時の処理時間の増加は最小限である一方、鍵サイズが増加することで通信量やパケット数が増加することが明らかになりました。送受信環境において十分な帯域が確保されていない場合には、事前に確認を行う必要があるとの結果も得られています。
標準化の動向
また、PQCの移行に向けては、業界における標準化がまだ進んでいない部分も存在します。これからの業界標準化の動きに沿った段階的な移行が求められることが指摘されました。これにより、安全性を確保しつつ、スムーズなPQCへの移行が図れるとされています。
移行の進め方
PQC導入に向けた取り組みとしては、システム全体を俯瞰する観点から、暗号の移行を専門的に検討する体制の構築が必要です。具体的には、暗号の利用箇所や方式を整理した台帳の作成が重要となるでしょう。
各社の役割
この実証活動には複数の企業が参加し、それぞれが異なる役割を果たしました。大和証券グループ本社は連携・調整と進捗管理を、重視し、オンラインサービスにおけるPQC導入方針を策定しています。
大和総研は、具体的な検証環境の構築から技術検証、評価まで一貫して行い、成果をホワイトペーパーとしてまとめて金融業界に知識を提供します。NECはPQCに関する専門的見解を提供し、技術的信頼性の向上に寄与しました。F5ネットワークスは、PQC対応のADCを提供し、次世代ネットワークインフラの基盤を支える役割を果たしています。デジサートは国際標準化動向に関する知見を提供し、PKIに対する専門知識をもたらしました。
今後の展望
大和証券グループは、今回の実証結果を踏まえ、PQCの正式導入に向けた方針を策定し、量子コンピュータの実用化を見据えながら、さらなるセキュリティ強化と安全なシステム基盤の構築を進めていく意向です。
詳細なホワイトペーパーは、大和総研のウェブサイトにて公開されています。これからも金融業界の安全性向上に寄与する取り組みに注目が集まります。
会社情報
- 会社名
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日本電気株式会社
- 住所
- 東京都港区芝5丁目7-1
- 電話番号
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