オープンデータ活用ビジネス創出のアイディアソン
最近、日本国内では異常な猛暑が続いており、熱中症のリスクが高まっています。これを受け、環境省は熱中症予防に関連するオープンデータを活用したビジネスアイディアを創出するために、アイディアソンを開催しました。このイベントは、SAPジャパン株式会社との共同でも行われ、参加者は様々な業種から集まりました。
アイディアソンの開催と目的
2022年2月18日、東京都千代田区にあるInspired.Labで行われたこのアイディアソンには、企業の新規事業担当者や大学生など、合計36名が参加しました。環境省が提供した「暑さ指数(WBGT)」を基に、一緒に熱中症対策を模索しました。
参加者は多様なバックグラウンドを持つ21名の企業担当者と6名の学生から構成され、6つのチームに分かれてディスカッションを進めました。このイベントでは、リーダーの元、アイディアの創出・共有が活発に行われました。
インプットから発展したアイディア
アイディアソンの開幕には、関係者やオピニオンリーダーによる講演が行われました。内閣情報通信政策監の三輪氏が社会のデジタル化の重要性について語り、大阪府吹田市長の後藤氏は、地域の取り組みを基に熱中症対策のビジネスモデルについて述べました。続いて、帝京大学の教授が熱中症のメカニズムについての専門的な知見を提供しました。
その後、参加者はチームごとに熱中症対策に関連する課題についてディスカッションをし始め、課題を抽出。その後、児童や高齢者、労働者などの具体的なターゲット像を設定し、ブレインストーミングを実施。アイディアの出し合いは非常に活発で、各チームは個性的なソリューションを模索しました。
最優秀賞に輝いたアイディア
審査の結果、最優秀賞を受賞したのは「涼々名人」というウエアラブルシステムを発表したチームでした。このシステムは、建設現場で働く従業員を対象に、WBGTと個々の体感温度を測定し、自分の「涼しさ」を数値化するもので、従業員間でのランキング機能を持ち、インセンティブを提供するという仕組みです。
チームリーダーは「楽しく有意義な経験でした」と語り、ビジネス環境でオープンデータを活用する重要性を再確認しました。
斬新なアイディアの数々
アイディアソンでは、最優秀賞以外にも多彩なアイディアが発表されました。
- - AI型ロボット「Tell me cool Answer」: 日常的に熱中症のリスクが高い子どもに警告を出すシステム。
- - 「暑さ見えるSMARTサンスクリーム」: 教員が授業中に熱中症の疑いがある児童を識別するツール。
- - 「セルウォッチみまもるくん」: 高齢者向けの電話モニターシステム。
- - 「MAGOCUP」: 水分補給を促進する水筒型AIデバイス。
- - 「エゼキエル」: 建設現場の作業員の健康管理を行うデバイス。
社会的背景と今後の展望
近年の異常気象により、深刻な熱中症のリスクが存在します。2018年夏には、95,000人が熱中症のために搬送されました。熱中症は予防が可能であり、そのためには正しい知識が求められます。政府は、オープンデータを通じて熱中症に関連する情報を広く提供し、国民の意識を高めることを目指しています。
今後は、ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックなどのビッグイベントを控え、熱中症対策は一層重要となります。政府と民間が協力して、社会課題の解決に取り組む姿勢が期待されます。
まとめ
環境省の主導によるアイディアソンは、新しいビジネスモデルを生み出す道を開く貴重な機会となりました。熱中症という社会問題を解決するため、今後のアプローチに注目が集まります。