「空の時代の『中論』について」の出版背景
2025年3月17日、株式会社IAAB EDITは、東洋大学の教授である清水高志氏による著書『空の時代の『中論』について』を発行しました。この書籍は、大乗仏教において非常に重要でありながらも、その思想の構造が難解で理解しづらいとされる『中論』を解明する試みを網羅した全27章からなる講義録です。
本書の要点と意義
新型コロナウイルス感染拡大の中で、私たちは世界内部の対立を目の当たりにしてきました。特に「経済優先か外出自粛か」といった二項対立が浮かび上がり、多くの人々が自らの選択の難しさに直面してきました。そうした状況において、仏教哲学が提供する「四句分別」の知恵が、分断を超える手助けになるのではないかとの考えから、清水氏を新潟県に招き、講義と座談を行いました。
その成果が『空の時代の『中論』について』という形で結実しました。この著作は、278ページから成り、具体的にはナーガルジュナが提唱した『中論』の全27章を精緻に読み解くものです。
講義の内容と仕様
この書籍には、実際に行われた講義の内容や質疑応答が詳細に記されています。特に、著者が意図的に「超論理」とも称される『中論』の内容を理解することを目指して行われた議論の数々は、読者に新たな視点を提供するでしょう。また、夜を徹した座談を通じて、理解を深めるプロセスも明らかにされています。
寄稿者たちの視点
特に注目すべきは、メディアアーティストである落合陽一氏が寄稿した内容です。落合氏は、「空の思想はデジタル技術によって生じる新たな自然観と呼応的に再構築される可能性を秘めている」と述べ、現代社会が直面する課題に対する新しいアプローチとして『中論』の必然性を示唆しました。また、著書『自分とか、ないから。』の著者であるしんめいP氏も『中論』の神秘のヴェールが明らかにされたと賛同しており、豊かな言葉でその魅力を伝えています。
書籍の購入方法と価格
『空の時代の『中論』について』は3600円(税別)で、全国の書店やネット書店で購入可能です。書籍にはオリジナルの表紙アートワークが施されており、視覚的な楽しみも提供しています。
清水高志教授について
清水高志氏は、専門をフランス現代哲学とし、数多くの著作を発表しています。彼の研究は、時代を超えた哲学的な問題に光を当て、新たな理解を促すものです。今回の書籍は、清水教授の独自の視点が色濃く反映された一冊となっています。
最後に
『空の時代の『中論』について』は、困難な現代における知恵の源としての仏教哲学がどのように役立つのか、その可能性を探求するものです。難解な『中論』を独自の視点で解明したこの著作が、多くの人にとっての手引きとなることを期待しています。